二度目の転職 - その4 - 本格活動開始

なんとなくどこの企業を受けるのかの決め手もなく、情報収集も惰性になってきた頃、決意するのに決定的な知らせが入った。
会社の経営状態が今ひとつなのは知っていたが、早期退職者を募るということが決まったのだ。別に今の世の中珍しいことではないので驚きはしないが、こういうのは会社の思惑とは裏腹に、たいてい主力から順に手を上げる傾向があるので、働き続ける側としては組織のスリム化よりも体力低下のほうが心配だ。リストラが失敗した場合、倒産ということもあり得ない話ではない。
働いている会社を辞めてから、あるいは辞めざるを得なくなってから転職活動をする人もいるようだが、それだと収入がない期間が発生するので、できることなら避けたい。私は勤続年数の関係で早期退職の対象ではないが、失業という文字が現実的なものに感じ、これを機会に転職への思いを強くした。
この早期退職の話が出たのがある年の年末で、実施は翌年の3月末。あまりのんびりした時間はない。

年内中に集めた求人情報のうち、自動車メーカ2社と自動車部品メーカ1社に絞り、応募することにした。
ちなみに、すべて大手人材バンクからの求人資料だ。初めての転職のときにも少しお世話になったが、大手らしく（？）事務的な対応をされる傾向が強い。何か裏情報的なことを聞こうにも、良い話しか聞くことができない。これが後々大きく影響するとは、このときはまだ気づかなかった。
年が明けてから、大手人材バンクを通じ、3社に履歴書と職務経歴書を送った。職務経歴書は書式自由なので、最初の転職のときに使用した電子ファイルに、そのとき勤務していた会社の分を追加した。参考にしたのは、初めてのときと同様、やはり大手人材バンクの系列の転職情報誌にあった見本である。

その頃、複数登録していた人材バンクのうちのひとつから、ある自動車メーカの紹介があった。技術的にも業界での評価が非常に高く、個人的にも強い魅力を感じていた企業である。気持ちとしては、ここを本命としたいところだ。
迷わずそちらにも履歴書と職務経歴書を送ることにした。

 

次回予告；給料の話