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CAV JAPAN VAZiO T-2 レビュー その2 [モノ]

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真空管アンプ CAV JAPAN VAZiO T-2 レビューの第2弾です。

 

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衝撃を受けた前回レビュー時から3週間、純粋に音楽を楽しむためのピュアアンプなだけに、クラシックやピアノインストルメンタル、ヴォーカルが際立つ R&B 等、いろいろなジャンルのCDを試聴した。

聴きこんでいくにしたがってわかってきたのは、本機の得意分野。
全般的に満足できる音を出してくれるのだが、アコースティック系の楽器が特徴的な曲や切ないヴォーカルの曲になると、一段と輝きを増してくる。
高音がどうとか低音がどうとかそんなんじゃなく、すべての音が澄んでいる中にも厚みを持っていて、目の前で空気が震えているような、生々しいリアルさに包み込まれる。
一方で、大編成のオーケストラや今時のポップスは、いい音できれいではあるが感動するというにはほめ過ぎな気がする。

 

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スピーカを、普段リビングで使用している TANNOY System6 Mark II に入れ替えても試した。

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英国製のこのスピーカは、ウーハとツイータを同心円状に配置した同軸2ウェイという構造が特徴。 

これがピュアオーディオの実力か。
オーディオに深い造詣があるわけでなく文才もない私は、こういうときにどういうことを書けば自分の思ったことが伝えられるのかがわからない。
そこにまるでアーティストがいるかのような、とまで書くと大袈裟ではあるのだが、そういうリアルな感じのある温もりある音で、思わず目を閉じて聴き入ってしまう。
マルチチャンネルのサラウンドで迫力に包まれるのもいいが、自分の好きだったのは、こういう音だったよなあと、今よりも若かった頃を思い出し、妙な懐かしさを感じた。
こうして聴いていると欲が出てきて、純粋なCDプレーヤをつないで聴いてみたいものだ。
(CDは、東芝VARDIA RD-E160 で再生)

もうひとつの売りである、「アナログとデジタルの融合」ということで、iPod を使用してもいろいろと時間をかけて聴いた。

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ドックコネクタには小さなカバーがついているのでこれをはずしてつなげる。
個人的には、こういう着脱式のカバーよりも、コネクタ全体を覆う開閉式のカバーの方がスマートだし使いやすいと思う。

私が iPod を使用するのは、90%以上は車内なのだが、それとは当然比べるべくもなく、圧縮した音楽データといえども、ちゃんとしたシステムで再生すれば、驚くほど美しい音を出してくれ、ひとつのソース(プレーヤ)として、しっかり存在感を発揮してくれる。
iPod 向けのステレオ製品は、KENWOOD の K-521 を以前モニターさせてもらったが、真空管の効果か、本機のほうがリアルに聴こえるのは間違いなく、より音楽を聴くことそのものを楽しもうという気にさせられる。
ただ、CD を散々試した後に iPod を試したせいか、CDとの差というのは明らかに感じる。
これも言葉でうまく説明することができないのだが、音の厚みというか深みというか、そういうのが明らかにCDのほうが上である。

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もうひとつ iPod 使用時に書いておくべきは、このリモコン。
昔ながらの硬派な本機には、最近の機器ではついているのが当たり前ともいえる本体操作用のリモコンが付属していない。
それとは別に、ひとつの小さなリモコンが付属している。
これは iPod 接続時のみ使用可能な、iPod 用リモコン。
再生/停止はもちろん、iPod のメニュー操作とボリューム調整が可能となっている。
本体もキーも小さく、使いやすいとはいえないが、離れたリスニングポイントからちょいちょいっと操作ができるのは便利だ。
ただし、私の iPod nano だと画面が小さいので、メニュー内のどの階層にいるのかある程度近づかなければわからないので、そうありがたいものでもない。
iPod touch や iPhone くらいの大きな画面であれば、けっこう使えるだろう。
それよりも、このリモコン自体が小さすぎる。
多くの人が使っているうちになくしてしまうのではないだろうか。

 

なんだか抽象的で稚拙な言葉をひたすら羅列してしまって恥ずかしいのだが、ここで私の偏見による自己採点を。

性能;10点
この項目で10点満点をつけたのは本機で二度目。
これについては安易に満点をつけたくないが、これは文句なし。
久しぶりにピュアオーディオの良さを認識できたし、サラウンドなんてものは影も形もなかった頃を思い出して懐かしかった。
久しぶりにCDをじっくり聴きたい気分にさせてくれて、好きな音楽を心行くまで楽しむことができた。

機能;5点
トーン調整さえついていない極めてシンプルな構成はこういうコンセプトの商品としておもしろいと思うのだが、多機能が当たり前になった最近の製品に慣れている今の人から見て、それが機能的にどうかというと...ということで渋い点に。
フォノイコライザとかついていると、おもしろいのに。

操作性;6点
本体についている操作系は、電源ボタン、ボリュームダイヤル、ソースセレクタのダイヤルのみ。
まあ、普通の人なら取扱説明書がなくても操作できるはず。
上述したように iPod 用にリモコンが付属しているが、これの操作性が今ひとつ。
ないよりはあったほうが...やっぱりいいのかな?

デザイン;7点

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シンプルだが美しい。
アルミパネルは重厚さも感じるし、なにより真空管の工芸的美しさにほれぼれする。

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どうしても試したかったのが、部屋を暗くして真空管のほのかな明かりをながめること。
オレンジ色の淡い光が美しいが、下から照らす白い灯(LED?)がはっきり言って余計だ。
私がこれを購入して使うとしたら、真空管を保護するカバーもはずしたい。
このカバー、開口部がなく全体を覆っていたらもう少しましだと思うのだが、かなりの熱を出すので放熱のためにはこの開口部を設けておかなければならず、そのせいで安っぽく見えるのが残念。

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あと、スピーカーのデザインも安っぽさを感じてしまう。
これはもうちょっとなんとかならないかなと思ったが、CAV のホームページでこの会社の他のスピーカーを見ると...無理かもなあ。

コストパフォーマンス;3点
なかなか市場価格というのがわかりにくかったが、Amazon で見ると 59,000円くらい。
この性能、機能からすれば妥当だと思うが、それは私の意見。
高機能な最近のデジタル製品が当たり前の人からすれば、高いと感じるかもしれない。
取扱説明書を見ると、真空管の寿命は5年くらいで交換が必要とのこと。
2種類4本の真空管を装備しているが、調べてみると、大きいほうの真空管(EL-84)が5,000円くらい、小さいほう(12AX7)が10,000円くらい。
5年毎に約30,000円のこのランニングコストがけっこう大きい。
シンプルな製品なので、その他の部分は故障せずに長く使えそうではあるので、この辺りは個人の価値観にもよるだろう。

総合;31点
ニッチな製品だと思うので、高得点とはならなかったが、モノとしては非常に優れていると思う。
こういう製品を求める人は今も根強くいるのだろうが、時代が30年くらい前だったら、バカ売れするんじゃないだろうか。
中国製だからとバカにはできないが、中国だからこそ、最新技術で勝負するのではなく、旧い技術をマニア向けに出してきているのかもしれない。
私自身、真空管アンプの時代を知らないので、同様の他の製品と比較しての本機の相対的な実力のほどは判断できない。
しかしながら、絶対的な性能は十分に満足するものであり、自信を持って他の人に薦めることができる製品である。

このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営するレビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

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めぎ

真空管の光が綺麗だなあ・・・と思ったら、熱くなるのですね!
それは狭くて色々燃えやすいもののある日本のお家ではちょっと厄介ですねえ。
聞く音楽に合わせてそれにあった機材を使えたら素敵でしょうね。
by めぎ (2010-10-25 06:37) 

YAP

めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。
真空管は、火がつくほどの温度にまでなるかというと、たぶんそれは大丈夫ではないかと思いますが、触れないくらいの熱さにはなります。
最新のサラウンド音声もいいですが、こういう機器でいい音楽をじっくり聴くのも贅沢だと思いました。
by YAP (2010-10-25 07:48) 

Jalana

ランニングコストってそんなに高くなるんですね。
需要が少ないからこういう価格になってしまうんでしょうかね。
by Jalana (2010-10-26 00:47) 

YAP

Jalanaさん、コメント & nice! ありがとうございます。
今の時代、特に供給が少ないのかもしれないですね。
メンテフリーの製品に慣れていると、そういうところもハードルになると思います。

HIROMIさん、きむたこさん、Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-10-26 07:31) 

ナツパパ

すみません、出遅れてしまいました。
これは良いですね、YAPさんの記事で、あたらめて使ってみたくなりました。
わたしも、ipodに曲を入れるようになったので、とても興味があります。
リモコンも良いなあ。
by ナツパパ (2010-10-26 09:04) 

YAP

ナツパパさん、コメント & nice! ありがとうございます。
iPod を接続するコンポはいろいろありますが、これはかなり音にこだわりを見せるモデルではないかと思います。
ただ、リモコンはなくしてしまいそうな大きさなので、注意が必要です。
by YAP (2010-10-27 07:51) 

監督

12AX7、昔の無線機マイクアンプに良く使われていたかも。
おいらのFT101には・・・・・・6JS6Cだったかな!?
ってか昨晩、あと5分悩んだらネットでポチッとやってしまうところでした。欲しい・・・・・・。
by 監督 (2010-10-28 13:57) 

フェイリン

真空管…掃除しにくいのが難点ですw
開くのかしら…
by フェイリン (2010-10-28 14:41) 

YAP

監督さん、フェイリンさん、コメント & nice! ありがとうございます。

監督さん、
昔って、いろいろなところに真空管が使われていましたよね。
テレビとかでもそうだったし。
電源入れてもなかなか画面がつかなかったのをおぼえています。

フェイリンさん、
たしかに掃除しにくそうですね。
そのたびに真空管をはずすとしても壊してしまいそうだし。
この製品のカバーは、ビス2本で止まっていました。
はずせそうです。

ぼんぼちぼちぼちさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-10-29 07:44) 

ベアトラック

ソリッドステートとチューブ(真空管)式は、エレキギターのアンプも同様ですが、それぞれ一長一短ですよね。
真空管のオーディオアンプ・・・憧れます。
by ベアトラック (2010-10-29 21:51) 

YAP

ベアトラックさん、コメント & nice! ありがとうございます。
こういうのが自宅にあるとうれしいですね。
なかなか手が出ませんが。

c_yuhkiさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-10-30 15:51) 

いっぷく

音響機器を評論するする人たちはレストランで食べる料理を評論する人によく似ていて巧みな言葉で語るので、逆に迷ってしまうケースが多くてあまり信用しないということになってしまうのでむしろYAPさんのような表現が正直に伝わってきます。最近の状況を把握してない人にとってはおおいに参考になると思います。
by いっぷく (2010-10-31 13:45) 

YAP

いっぷくさん、コメント & nice! ありがとうございます。
そう言っていただけるとありがたいのですが、伝わるものも伝わらないという心配もありまして。
モノ書きの人はすごいと思います。

うつマモルさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-10-31 14:26) 

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