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東京モーターショー2011 国内メーカ編 [クルマ]

すでに会期も終わり旬が過ぎた話題ではあるが...
自動車屋にとって2年に一度のビッグイベント、東京モーターショーを記事にしないわけにはいかない。





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今回から会場は幕張メッセから東京ビッグサイトに。
自宅から会場までの直線距離は短くなったが、所要時間はほとんど変わらないんだよなあ。



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少し早めに着いたが、既に開場を待つ多くの人が。

クルマの写真を並べても他のサイトやブログと同じなので、ここは私らしくエンジン屋視点で技術的に興味を引かれたものを中心に、国内メーカ、海外メーカ、部品メーカに分けて記事を書いていこうと思う。

第一回目は国内メーカ。

まず最初に書いておくと、日本はこの先内燃機関は絶滅するのか?と思わずにはいられないほど、各社とも PHV(パーシャルハイブリッド車), EV(電気自動車)を中心とした展示。
それらの技術に懐疑心はあるものの否定はしないが、興味のあるものが非常に少ない。





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そんな中、最もエンジン関係の展示があったのがダイハツ。
「第三のエコカー」と呼ばれる低燃費ガソリン車の技術説明パネルが注目ポイント。

イオン電流を検出して燃焼限界に近いところまで導入する大量EGRと、安定した燃焼のための「アクティブ点火」が気になったポイント。
「アクティブ点火」と呼ぶ技術がパネルを見てもよく理解できなかったのだが、ラジカルという化学反応を起こすことで強い火炎を作り安定した燃焼を得るというもののようだ。  

 
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いずれも、「第3のエコカー」と新ジャンルで呼ばれるミラ e:S で実現している技術である。


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もうひとつ気になったのは、2気筒直噴ターボエンジン。
排気量ダウンサイジングのコンセプトは、気筒数の削減がひとつのトレンドとなっていきそうだ。 





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トヨタは相変わらず HV や PHV が目立っていた。
まもなく発売されるアクアにプリウスPHV。



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この分野の技術の業界最先端を行っているだけに、技術展示もしっかりしてある。




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そんな中で異彩を放っていたのが来週デビュー予定の "86"(ハチロク)。
スバルと共同開発されたこのクルマは、運転する楽しみを再発見するために走りにこだわったということで、魅力がなくなってきている最近のクルマの中で、すごく輝いて見える。
ただ、このジャンルのクルマが売れる土壌がこの国から消えかけているのも事実であり、はたして売れてくれるものなのか。





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コンセプトカーでは、EV のFT-EV IIIが目を引いた。
ご覧の様に見た目は iQ そのものなので、そのまま市販できそうな完成度だし、想定される EV の用途にうまくミートしたサイズだ。





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トヨタつながりで隣のレクサスブースで目を引いたのは、LFA の骨格(?)展示。



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高価なカーボンファイバー素材をふんだんに使い、これだけ見ると本格的なレーシングマシンと見紛うほど。





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こちらが完全なボディをまとった市販の姿。
展示されていたのはニュルブルクリンク・パッケージと名づけられた世界500台の限定モデル。
お値段約4,400万円也。



その流れでもうひとつ。

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レクサスLFAのエンジンはヤマハ発動機が開発・生産しているのだが、ヤマハ発動機のブースでは、前回と同じく、LFAのエンジンが展示されていた。



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フロントカバーにはこのエンジンを組み立てた職人さんの名前がプレートに刻印されている。





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続いては、もうひとつトヨタつながりということでスバルのブース。
メインで展示されているのは次期レガシィのスタディモデルともいえるデザインの HV、アドバンスド・ツアラー・コンセプトではあるが、私が気になったのは 86 のスバル版である "BRZ"。


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個人的にはトヨタバッヂよりもスバルバッヂのほうがいいなあ。



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こちらにはエンジンの展示も。
スバルお得意の水平対向に、トヨタの直噴D4Sが搭載されていることから、両社がかなり密接に関わって開発されたことがわかる。
エンジンのカバーにも、トヨタとスバルの名前が併記されている。



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各気筒に2個ずつのインジェクタが見える。





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日産は、リーフがカーオブザイヤーを取ったことからもわかるように、EV 一色。
エコ、エコと叫ぶ中でも走りの楽しみをということで、スポーツタイプのESFLOWが目を引いた。
電気モータは最初の回り始めのところで最もトルクが出る特性を持っているので、そのままアクセルペダルからダイレクトにモータに電力が流れるようなことをすると、とてもじゃないが危なくて扱えない。
なので、現在市販されている EV は、エンジン車に近いフィーリングとなるよう、回転し始めのトルクを相当マイルドに制限している。
こういう電気モータの特性を活かすことで、実はスポーツカーにこそ向いたパワーソースと言える。






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日本初の量産EV を出した三菱も同じく EV が目立っていた。
ただし、こちらは来年復活するミラージュも大きくクローズアップされていた。
タイで量産された車両をワールドワイドに販売する手法は、現行マーチと同じビジネスモデル。
モード燃費は 30km/L を目指しているということで、低コストながら「第3のエコカー」の枠に入る高効率車。






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HV, EV で完全に出遅れた感があるマツダだが、エンジンに関してはスカイアクティブシリーズで大きなブレイクスルーを果たし、存在感を見せている。
2年前の展示では概要のみであり、正直なところ「絵に描いた餅」だと思っていたのだが、各種技術論文で具現化した技術が紹介され、実際に量産化も果たしたことで、エンジン技術に関しては一気にヨーロッパの技術レベルに並んだ感がある。
ここ数年、エンジン技術に関しては、日本のメーカはヨーロッパメーカに大きく水をあけられていただけに、今後も期待したい。
残念なのは、そういった技術に関しての説明展示がほとんどなかったこと。
エンジンのカットモデル数台と、説明員も技術の深い部分にはあまり詳しくない人で、いろいろと話を聞きたかったのだが叶わず。


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展示されていた各社のコンセプトカーの中で、最も実現性のあるモデル、雄(TAKERI)。
次期アテンザのスタディモデルといわれているこのクルマには、圧縮比14の SKYACTIVE-D と呼ばれるディーゼルエンジンが搭載されている。
ガソリン車とディーゼル車の圧縮比が同じになる日が来るなんて、ちょっと前なら想像すらできなかったこと。



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まもなく発売される CX-5 も注目すべきクルマ。
「スカイアクティブ」と名づけた技術をエンジンから車体までフルに採用した初のモデル。


かつては圧倒的なエンジン技術を見せつけていたホンダも、すっかり HV や EV がメインの展示。

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HV の AC-X は、次期アコードのデザインスタディといわれている。



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軽サイズの スモール・スポーツ EV は、なんと、ビート復活へのスタディモデルとも言われている。
もちろん EV ではなくガソリン車で出てくるだろうが、今の時代に合った高効率モデルとして出てくるだろう。

実はホンダは、このモーターショー会期中に新しいエンジン群を記者発表している。
このタイミングであれば、モーターショーでぜひとも展示してもらいたかったのだが。





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スズキは実現性の薄そうな展示が多いが、今回もその例に漏れず。
このスズキブースのほとんど正面がなんとVWブースで、そっちのほうが興味を引いた。
泥沼模様の両社の提携解消話だが、傍から見る両者の思惑がまったく一致しておらずうまくいかないだろうと思っていたのだが、やはりこうなってしまった。


次回は、海外メーカ編を。


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コメント 18

YAP

da-kuraさん、めぎさん、Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2011-12-19 07:33) 

luckystream

行こうと思っていたのに行けなかったので、拝見できて嬉しいです。
あまり車には詳しくないのですが、見てるとワクワクしますね。
時代の流れとは言え、HVやEVには正直あまり興味が沸かないと
いうか・・・。
でもBRZ乗ってみたいですね。スバリストとまでは言わないにしても
スバル好きです。
by luckystream (2011-12-19 08:20) 

ちんくろ2級

職場近くでの開催にもかかわらず、行くこと無かったモーターショー。こうして拝見すると、チラ見でもしとけばよかったかなと思います。
新橋から会場までゆりかごめで20分くらいでしょうか。
その時間だと、新橋からは川崎か横浜まで行けてしまうんですよねぇ。このあたりがなかなか発展しないのも頷けます。
by ちんくろ2級 (2011-12-19 11:30) 

mayumi

エコカーがずいぶん席巻してますね(@_@)時代の流れを感じます!
その中で「ハチロク」が出てきたのには驚きでした~
走り屋のバトルや美学を活写したマンガ「イニシャルD」の主人公が乗っている車が、これなんです。
クルマの走り、が好きな人は黙視できないと思います~

by mayumi (2011-12-19 12:28) 

ユミ

おぉ!
色んな車がありますね~!
トヨタのスポーツカー、ニュースで出てましたね☆
カッコいいですね!
by ユミ (2011-12-19 18:52) 

ナツパパ

先日佐賀県を車で走ったのですが、軽自動車が多いことに驚きました。
日常の足としては、軽自動車がベストなんでしょうね。
それが佐賀県にとどまらず、全国的な傾向であるならば、車はいよいよ道具としてしか
扱われなくなってしまうでしょう。
YAPさんご専門のエンジンでも、燃費とか省エネとかが主流のようですね。
パワーとかトルクとか、そういうのは、もはや売りにはならないのでしょうかねえ。
by ナツパパ (2011-12-19 19:53) 

koyuki

車の知識が全くないので、私は見た目でしか判断できません。汗
エコカーが増えてくると、私の好きなマニュアル車がどんどん消えてしまい残念です。
by koyuki (2011-12-20 00:39) 

YAP

luckystreamさん、ちんくろ2級さん、mayumiさん、ユミさん、ナツパパさん、koyukiさん、コメント & nice! ありがとうございます。

luckystreamさん、
スバルがお好きということは、通好みですね。
このクルマは、私もぜひとも試乗に行ってみたいと思います。

ちんくろ2級さん、
今年は夕方から入場可能なちょっとお安めのチケットもあったようですよ。
ゆりかもめって、けっこううねうねと遠回りしながら路線が走ってますね。

mayumiさん、
イニシャルDは、まだ連載が続いているそうですね。
私はもっと上の世代、「サーキットの狼」で育った世代です...

ユミさん、
スポーツカーというジャンルはどんどん衰退していってます。
最近の若い人は、こういうのに興味がない人が多いみたいで。
時代が違うんですかねえ。

ナツパパさん、
最近のクルマは走りに関してはどれもそれなりに申し分ないものになってきているということもありますし、時代からの要求もあり、燃費や排ガスが売りになるのは仕方ないですね。
私としては、以前からあるチューニングショップが、パワーではなく燃費に特化したチューニングをしてくるところが出てきても面白いと思うのですが、なかなかそういうショップは出てきません。
トルクを出すことに比べれば、技術的にはるかに難しいからなんでしょうけど。

koyukiさん、
あ、そういえば koyuki さんは以前MT派とおっしゃってましたね。
私と同じ人がいてうれしい限りです。
日本車はどんどんMTの設定が減っていって、それで今のクルマは輸入車になってしまったのですが、魅力的な日本のMT車が増えて選択肢が増えてくれることを希望します。

きむたこさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2011-12-20 07:52) 

junko

車のことはわかりませんが・・・
やはり展示会、かっこいいものが並んでますね!
性能はわからないので、見た目だけ(^^)
普段見慣れている車と色や形が違う(?)ので、ミニカーのコレクションに見えてきちゃいました(^^;
by junko (2011-12-20 23:29) 

HIROMI

FT-EV IIIは、色といいデザインといい、すごく好みです。
by HIROMI (2011-12-21 02:15) 

YAP

junkoさん、HIROMIさん、コメント & nice! ありがとうございます。

junkoさん、
たしかに中には見てくれだけのおもちゃのようなものもありますので、ミニカーみたいに見えるものもありますね。
メーカによって、将来を見据えているモデルとアドバルーンのように広告のように持ち上げているだけのモデルとあって、企業の姿勢もうかがうことができました。

HIROMIさん、
これ気に入りました?
この形がお好きなら、既に iQ というガソリン車で市販されています。
非常にコンパクトですが、運転席よりも助手席が微妙に前にあり、助手席後に大人が乗れるスペースを確保しています。
車検証上は4人乗りですが、事実上は大人3人+子供ひとりくらいだと思います。

パフォームさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2011-12-21 07:57) 

ベアトラック

東京ビッグサイトでの開催となったんですね。知りませんでした。
やはり、次回の買い替えにはエコカーですかね。
by ベアトラック (2011-12-21 10:57) 

リュカ

我が家に車は無いのですが(私は免許も持ってませんw)
家のローンが落ち着いてきたら、車もほしいなーとダンナが言ってます。
何年後になるか分からないけど、買うとき、いろいろビックリするような車が増えてるのでしょうね。
私の知識は昭和で止まっている気がするし(笑)
ルパン三世が乗ってるような車が好きです^^
by リュカ (2011-12-21 20:06) 

YAP

ベアトラックさん、リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ベアトラックさん、
私はやっぱり、エコかつスポーティなモデルがいいですね。
走る喜びは捨てられないです。

リュカさん、
ルパン三世のクルマというと、フィアット500ですね。
MINI と同じように、あのスタイルをベースとして現代にマッチした技術で復活してますよ。
http://www.fiat-auto.co.jp/showroom_500_index.html?utm_source=google&utm_medium=adwords&utm_campaign=S_FIAT

ながつきさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2011-12-22 07:46) 

フェイリン

旦那様も行こうとしたのですが、レポートを提出しないといけないので、
断念しておりました…w
by フェイリン (2011-12-22 12:19) 

YAP

フェイリンさん、コメント & nice! ありがとうございます。
私の勤務先も、業務理由で行くことは許されています。
ですが、やはり業務としていく以上はレポート必要ですので、私は遊休を取ってプライベートで行きました。
by YAP (2011-12-23 07:48) 

hideyuki2007y

さすがYAPさんのモーターショー記事、おねえさんが少ないですね(笑)。 幕張には2回程足を運んだことがあります。
ところで、EV良さそうなんですが、いまの10倍位充電できるところが増えないと、少なくとも地方都市では無理ですね。また、プラグインは集合住宅に住んでいるひとはどうしたら良いのでしょう?
by hideyuki2007y (2011-12-24 20:39) 

YAP

hideyuki2007yさん、コメント & nice! ありがとうございます。
おねえさんの写真は、肖像権やプライバシーの点で問題となるといけないので、避けています。
ブログに使えない写真となると、撮るときから意識するようになって少なくなります。
EV の普及は、インフラ整備と航続距離次第というところがあるでしょう。
PHV は、従来のハイブリッドのようにガソリン動かすエンジンで充電できますから、それはあまり問題にならないと思います。
それなら PHV である必要はなく、普通の HV でもいいのでしょうが。
by YAP (2011-12-25 06:44) 

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