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東京モーターショー2011 感想まとめ [クルマ]

3回に分けて記事を書くつもりだったが、最後にもうひとつだけ、ちょっと固い話を書いて終えたい。

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今回、テーマ展示として、スマートシティ構想についてのまとまったエリアがあった。
今年の東日本大震災を引き金に福島原発で大事故が発生したことから、電力を中心にエネルギマネジメントに新しい動きが加速しそうな雰囲気がある。


スマートシティとは、広義には IT を駆使したエネルギ供給や交通、水道等の管理を効率的に行なう社会環境というものだが、ここでは電力に関してのマネジメントとそれに付随する移動手段にフォーカスされていた。
電力需要が増加して電力会社からの供給が追いつかないようなとき、家庭に備え付けの発電システムや EV のバッテリから電力を取り入れたり、場合によっては電力会社へ売電したりというような例を想像すると、なんとなくどんなものかイメージしやすいのではないだろうか。

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自動車メーカの中で特に力を入れていたと感じたのは日産で、昨年のカー・オブ・ザ・イヤー受賞のリーフを中心に、家庭の電力マネジメントについての技術をアピールしていた。

こういうのの説明を見たり聞いたりして、目指している方向はわからないでもないが、実現するためには既存のインフラから大きく変えていかなければならない部分は多く、(グローバルでもローカルでも)地域間格差とか大きくなりそうだが。
 

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この手の超小型移動手段も毎回新たに展示はされるが、果たして、こういうものが普通に街中で見かける日が本当にやってくるのだろうか?

今後も、このような分野の技術開発は進んでいくだろうが、たどり着くべきゴールはまだしばらくは模索状態で続いていくような気がする。


今回の東京モーターショーは、第1弾の記事の冒頭でも書いたが、主役は EV や PHV だったのは間違いない。
開催規模では、欧米はおろか中国やアジア諸国の新興モーターショーにも見劣りするようになってしまったこともあり、業界としては「世界一のテクノロジーモーターショー」という位置づけで日本の技術力の高さを前面に出そうとしていたようだ。
たしかにこの手のショーは、明るい未来に向けたアドバルーン的な要素を含んでいるものだが、果たして今回のモーターショーがそうであったかというと、そうでもない気がする。

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「スマートフォント連携して云々」なんて展示もやたら多かったが、無理やり流行りのものとクルマとをこじつけているようにしか見えず、これが「世界一のテクノロジー」の具現化のひとつだとはとても思えない。
べつに EV にケチをつけるつもりはないし、内燃機関こそがすばらしいと言うつもりもないのだが、これが正しい技術進化の流れなのか、世界の流れに乗れているのか。
まあ、この先の方向は政策による部分もかなりあるので、自動車業界だけで流れを作るのは無理なのだが。(そういう点で考えると、政策を間違えてしまうとこの国の世界的地位にも関わってくる)

クルマというものは、かつてのお金持ちだけのものである時代は疾うに過ぎ、完全に庶民の道具としての地位を築いている。
趣味性の高いクルマが売れなくなり、軽自動車やミニバンのような実用車が多く売れることからもそれがわかる。
日本国内だけで毎週100人もの人がこの道具によって(ほとんどは使用する人の誤った使い方によって)命を奪われているとしても、この道具はこの先も販売され続けるだろう。
一方で、「若者のクルマ離れ」なんてことも言われてクルマの販売台数が伸び悩んでいる実状もある。
果たして、この業界の未来はどこへ向っていくのか?
「道具」を売る今の業界構造のままだと新興国への市場拡大に頼るビジネスにしかならず、これが未来永劫進んでいくとはとても思えない。
業界の垣根を越えて(少なくとも家電メーカは絡んでくるだろう)激震が走る日もそう遠くないだろう。

ああ、まとめた話を書くつもりがだんだんと発散してしまって。
それだけ今は混沌とした過渡期にあるとも言えるのかもしれない。
すみません、まとまりのない締めくくりで...


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YAP

ハマコウさん、めぎさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-01-10 07:37) 

ナツパパ

電気自動車の急速な広がりには驚きます。
でも、ふつうの自動車が売れないから、と言う理由では困りますね。
by ナツパパ (2012-01-10 08:42) 

mayumi

本当に、混迷の時を迎えているようですね。
今までの論理が通用しなくなってきていますよね。
原発問題から気づかされた、「電気であればクリーン、エコ、持続可能なエネルギー」という考えの破綻(とまでは、言い過ぎかとも思いますが)、そして、新興国(インド、中国など)の市場拡大に伴う一層の価格競争・・・
今日、ラジオを聞いていたら、日本円にして30万~50万程度で車を生産しないと、新興国の人たちにはなかなか買ってもらえないと聞き、競争の厳しさを痛感した次第です。
by mayumi (2012-01-10 12:10) 

koyuki

色々考えさせられますね。
車もどんどん進化していっていますが、このままどこへ向かっていくのかは楽しみでもあり、ちょっと不安でもあります。
今の生活は、車なしでは成り立たないので、事故など起こさないようにだけは気を付けます。。
by koyuki (2012-01-10 12:14) 

hideyuki2007y

シートベルト、エアバッグ、衝撃を吸収する車体等、安全面での自動車の進化を忘れてはいけないと思いました。ピーク時は年1万2千人が犠牲になっていた訳で、エコだけでなく、セーフィティも引き続きがんばってほしいと。
by hideyuki2007y (2012-01-10 23:59) 

YAP

ナツパパさん、mayumiさん、koyukiさん、hideyuki2007yさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
電気自動車は構造自体は非常にシンプルなので、意外と新興国で急速に広がるのではないかと思います。
日本のように、保安基準や品質に厳しい国では普及に向けた障害も多いのですが、中国の奥地のようなところとか、モータとバッテリをつなげただけみたいな単純な構造のものが走り回りそうな気がします。

mayumiさん、
新興国にしても、今の勢いのまま伸びていくかというと、近いうちにどこかで頭打ちになるような気がしています。
例えば、インドとかでは多くの人が20年くらいのローンを組んでクルマを購入するそうです。
家ならともかく、クルマを買うのにそこまでの経済的負担が必要な市場では、どこかで綻びが出てくると思います。

koyukiさん、
事故は多くの人の生活を一瞬にして奪ってしまうので気をつけないといけないですね。
私も今までは無事故でこれていますが、それをこの先もずっと継続できるように意識しています。

hideyuki2007yさん、
そうですね、安全は重要ですよね。
いくら交通事故により亡くなる人が減ってきているとはいえ、昨年は4800人くらいの方が命を落としています。
例えば電車や飛行機の事故で毎年ここまで亡くなる人がいたら誰もそんな交通機関は利用しないでしょうし、電化製品で同じように人が亡くなるような事故があったりしたらその企業の社会的責任は厳しく追及されるでしょう。
そう考えるとクルマという工業製品は極めて特殊なものだということを痛感します。

きむたこさん、Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-01-11 07:56) 

こしひかり

とても考えされられます。 こちらでは、車なしには生活できないので
乗っていますが、まだまだ初心者というのもあり、
いつもコワイなと思ってハンドル握ってます(汗)

衝突安全ボディーとエコロジーの観点を共存させながら、
より安全な社会にしていってほしいですね^^

by こしひかり (2012-01-11 09:05) 

トリバン

難しい問題ですね。
ところで、少々話しはずれますが、
電気自動車ですが、汎用性のあるカートリッジ式バッテリーをスタンドで交換する方式って検討されてないのでしょうか?バッテリーは共用でレンタル方式。
それと、脱原発はいいのですが、化石燃料は有限というのはウソなのでしょうか?
すみません、なんやコメントじゃないですね。(-_-;)
by トリバン (2012-01-12 00:38) 

YAP

こしひかりさん、トリバンさん、コメント & nice! ありがとうございます。

こしひかりさん、
アメリカはクルマなしの生活はあり得ませんからねえ。
ちなみに、アメリカの排ガス基準は世界一厳しく、アメリカ市場向けのクルマは最もコストがかかります。

トリバンさん、
バッテリを充電ではなく交換するというアイディアはありますよ。
けど、最近あまり聞かなくなったかも。
在庫管理という点で難しそうなので、技術の方向が充電する方向に行っているのかもしれません。
けど、インフラを考えると交換方式のほうがやりやすいですよね。
化石燃料については、当面の100年200年は心配なさそうな雰囲気はありますね。
石油自体が新しい油田発見や採掘技術の進歩がありますし、メタンハイドレート等の新しい燃料も実用化されそうな気配があります。

マチャさん、リュカさん、ユミさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-01-12 07:48) 

ながつき

遅くなりましたが、新年初訪問させていただきました。
昨年末、私は100:0事故の0の方だったとは言え、
自動車事故で痛い目に遭ったので、車の安全性のことや、
毎週100人が車で命を落としている現実は、とても気になります。
日本の車業界に、最後の写真にある、花いっぱいの車のような
明るい未来はあるのだろうか、気になるところです。

by ながつき (2012-01-12 21:42) 

YAP

ながつきさん、コメント & nice! ありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。
一時期に比べれば、交通事項による死亡者は激減しています。
しかし、ゼロになるにはその道のりは果てしなく長いわけですし、事故ゼロとなると、もはや現実的とはいえません。
それでもできるだけ事故を起こさないよう、予防安全に関しての技術も進歩してきています。
ですが、技術ばかりに頼りすぎるというのもどうだろうと個人的には思います。
日本の免許制度は、もっと厳しくしてもいいのではないかと個人的には思います。

ゲットさん、えーちゃんaaaさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-01-13 07:49) 

HIROMI

ちーさな車は、車いすがわりにいいかもと思いました。

震災の後は、とにかくガソリンが不足して自家用車があまり役に立たなかったりしましたが、最近のCMを見ていると、非常時のことも配慮されているなと思いました。夢のような格好いい車よりも、小さな工夫が嬉しかったりもします。
by HIROMI (2012-01-15 21:52) 

YAP

HIROMIさん、コメント & nice! ありがとうございます。
これから高齢化社会となっていくにあたり、コミュータとしての移動手段はひとつの鍵となっていくと思います。

luckystreamさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-01-16 07:24) 

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