SSブログ

出力のテスト - エンジンから火柱 - [仕事]

最初の会社での出来事だ。
ある日の午後、私はいつものように、エンジンベンチでテストをしていた。そのとき何をやっていたかは覚えていないが、たぶん記憶にないくらいなので大したことはしていなかっただろう。

ちょうど背中合わせの方向にある別のベンチでは、先行開発の真新しいエンジンの出力計測の真っ最中で、徐々に回転が上がっていた。なかなかしびれる良い音で回っている。
たぶん、7000回転を過ぎた頃だろう。バスンっ、とも、ガコっ、とも表現できないような音がして、警報のアラームがけたたましくなった。
「火が出た!!」
と運転していた人が大声で叫び、そのまま近くの消火器(こういう職場では、いくつか配置されている)を持って、初期消火のためベンチの扉を開けた。
火が出るということは相当な重要危険事態なので、私もすぐに自分の回していたエンジンを停止した。
振り向くと、ベンチ内で火柱が上がっている。徐々に充満する煙でベンチ内は暗くなっていき、炎だけがゆらゆらと揺れる。
手持ちの消火器での消火は無理と判断されたみたいで、扉を閉めて、室内全体に一気に消火剤を放出する消火設備のスイッチが入れられた。
「ハロン(消火剤の名前)を放出します。すぐに室外へ避難してください。」
という声が自動でスピーカから鳴り出す。
天井の噴き出し口から、ハロンが一斉に放出されたようで、ゴーッという音が響く。さすがに数秒で鎮火した。

急な出来事で呆然としてしまった。2階の事務所からも人が降りてきて、重大事故発生にざわついている。
ベンチ内は、照明をつけたままにもかかわらず、まだ煙で真っ暗である。

後にわかった原因は、コンロッドという高速で往復運動をしている部品の根元が高速で破壊し、それがシリンダブロックというエンジンの胴体にあたる大きな部品の壁を突き破り、そこから吹き出た大量のオイルに引火、ということである。かなりギリギリまで極限を追及した設計が持たなかったようである。

後にも先にも、このように大きな火を職場で見たのは、このときだけである。危険な仕事を実感したとともに、事故防止を常に意識しないといけないと考えさせられる一件だった。


*************************************
本ブログを監修するかみさんより、仕事の紹介がマニアックであまりにもおもしろくないという指摘を受けました。たしかに、自分でも今ひとつなのは薄々感じていたのですが。
次回以降の仕事関連の記事は、もう少し、普通の生活に密着したようなテーマを取り上げて書こうと思います。
それでもダメ出しがあれば、このコーナーは消滅かなあ?


次回予定;初めての海外出張 イギリス編 - コベントリの紹介 -


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 2

こんにちは。じつは私も技術者の端くれですので、こういう話、好きですが・・・。転職の話も興味深いですね。続きを楽しみにしています。
by (2005-06-29 02:04) 

YAP

patyanさん、コメントいただき、ありがとうございます。
記念すべき、初コメントです。
ごらんのように文才がありませんので、なかなか皆さん、反応していただけないのですが、少しずつ慣れていって、充実させていこうと思います。
こんな仕事の話でも、読んでいただける人がいて、ほっとしました。
転職話も合わせて引き続き見ていただければ幸いです。
by YAP (2005-06-29 22:57) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

JAL 日本航空 特便割引

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。