SSブログ

きちんとガソリンを選んでいますか? [仕事]

皆さんは、ガソリンを給油するとき、どういう基準でブランドや種類を選んでいるだろうか?
原油高の昨今、ガソリンも高いので料金を第一に選ぶ人、自宅から一番近くのスタンドに行く人、給油時にもらえるティッシュペーパーや卵などのサービス品で選ぶ人、特定のブランドにこだわる人、様々だと思う。
もし、品質にこだわっている人がいたら、今回の話は少し気になるかもしれない。

最近のエンジンには、ほぼ例外なく、ノックコントロールシステム(Knock Control System; 略してKCS)というものが制御システムに組み込まれている。
加速時や登坂時等の高負荷がかかる時に、エンジンからカリカリカリというような高周波の異音がすることがある。これはノッキングといって、エンジンの中で圧力が急上昇することによる異常燃焼を発生しているときの音で、エンジンにとって良くない。程度や頻度によっては、破損するかもしれない現象だ。混合気に点火するタイミングを遅らせることでこれを防いでくれるのが、KCSである。
エンジンの性能を引き出すために、最近はノッキングの起きにくいハイオクガソリン指定車も増えているが、こういうクルマにノッキングの発生しやすいレギュラーガソリンを入れたときも、KCSのおかげでエンジンはしっかり守られる。

最初の会社で、このKCSの制御性を最適にする仕事を担当していたときのことだ。
実際に、クルマでの制御性を確認するために、先輩と二人で少し離れたところにある峠道へ行くことにした。その峠は、急な登坂路が延々と続き、制限速度を守っていながらもスロットルを全開近くにして高負荷で走れる区間が多い、このようなテストのためには非常にありがたい道だ。その日は、ハイオクでKCSが余計な点火時期制御をしないことを確認するのが目的だった。
ふもとのガソリンスタンドで、ほとんどタンクが空のクルマにハイオクを満タン給油し、記録用の計測器を動かしながら峠を登り始めた。エンジンベンチでテストした結果が正しければ、ハイオクで走っている今の状態では、KCSは特に何も余計な制御をしないはずである。が、一生懸命点火時期を動かしている。ノッキングが発生していると判断しているのだ。
頂上へたどり着いた後、下りで同様の計測をする。下りはエンジンにかかる負荷が低いので、ノッキングが発生することはまずない。KCSも余計な制御をしていない。
もう一度ふもとから、登っていくと、同じように余計な制御が入る。何度繰り返しても同じである。
頭が真っ白になってきた。自分が何週間もかけてエンジンベンチでしてきた仕事が、間違いだったかもしれないのである。
KCSが作動していないときの状態も確認しようと思い、その機能をストップさせてみた。すると、ハイオクを入れているにもかかわらず、ノッキングが発生する。
どうやら、KCSはきちんと制御しているよう(この時点で私の仕事は間違っていなかった)だが、今度は元の点火するタイミングがおかしいのではないか(別の人の仕事に間違いがあるかも)という疑いが出てきた。
とりあえず、状況が把握できただけでそれ以上は仕事が進まないので、会社へ帰ることにした。
会社へ戻る頃には、ちょうどいい具合にガソリンタンクが空になった。

翌日、グループのメンバーに状況を説明し、調査を始めた。
まずは、該当車両にもう一度ハイオク(社内にあったもの)を入れて、再現テストである。峠までは行かずに、社内にあるシャーシーダイナモといって、タイヤの下のローラーが車速と連動して回転する(つまり、走行状態を模擬できる大型の装置)計測器で行なうことにした。
走行を開始して、スロットルを全開にする。あれっ?KCSの余計な制御が入らない。すこぶる快調だ。
タンクの中のハイオクガソリンを抜いて、レギュラーを給油し、同じテストをする。ちゃんとノッキングの発生を検知して制御が働く。狙い通りで何も問題ない。
そう、この時点で、峠のふもとのガソリンが一番怪しくなったのだ。

翌日、再度例の峠で確認することにした。
峠まで行って、頂上まで登って降りれるくらいのハイオクを会社であらかじめ給油して出発。今度は、余計な制御が入らずに峠を登っていく。
ほぼ狙い通りにタンクが空に近くなったので、例のふもとのガソリンスタンドでハイオク満タン給油して再度登る。前々日と同様にレギュラー給油時のような動きが再現された。
つまり、このガソリンスタンドのハイオクは、ハイオクの質を保っていなかったのである。ここでは書かないが、割とどこにでもあるブランドである。個人的には、この件以前から良いイメージはなかったが...

ガソリンにこだわるのなら、やはり信頼できるブランドをお勧めする。私は特定の企業の回し者ではないので、どこが良いということもここでは書かないが、少なくとも、モータースポーツのトップカテゴリーにガソリンを供給しているような会社であれば、外れはないと思う。あくまでも個人的な意見なので、参考程度に考えていただきたい。


次回予定;初めての海外出張 イギリス編 - ミルトン・キーンズの紹介 -


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

JAL 日本航空 特便割引

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。