"Yes" と "No" [イギリス出張]
簡単な言葉でありながら、日本語と英語でもっとも誤解が生じやすいのは、"Yes" と "No" ではないかと思う。
イギリス滞在中の朝メシは、ほとんど食べるものが決まっていた。シリアル、ヨーグルト、フルーツ。あとは、おやつに食べるために、レストランを出るときに、リンゴを一つパクっていく。スクランブルエッグとかベーコンとか他のメニューもあるが、夜が遅いと寝起きは胃もたれ感があり、軽いものしか食べたくない。
レストランで空いている席を選ぶと、ホールスタッフのおばちゃんがやって来る。
「コーヒーか紅茶かどっちがいい?」、「トーストはいるか?」、聞いてくるのはこの二つ。
私はいつも、紅茶のみでトーストはいらないと答えていた。
滞在が長くなってくると、顔も覚えられ、注文も覚えられる。
「紅茶でいいか?」 「はい」
「トーストはいらないね?」 「はい」
紅茶はいつも持って来てもらえるが、頼んだつもりのないトーストを持ってくるときがよくあった。1日毎に聞き間違えている気がする。
2度目の出張の中間くらいまでだろうか、なぜ、おばちゃんがこんなに間違えるのかわからなかった。
顔を覚えられる前までの会話
おばちゃん「Coffee or Tea?」
私「Tea, please.」
おばちゃん「Toast?」
私「No, thanks」
顔を覚えられてからの会話
おばちゃん「Tea?」
私「Yes.」
おばちゃん「No toast?」
私「Yes.」
もうおわかりの方は多いだろう。
日本語では、「はい」と「いいえ」は相対的な回答であり、相手の言うことに対して、その通りと言うときは「はい」、そうでなければ「いいえ」だ。
これが英語では、絶対的な回答であり、「はい(Yes)」は常に肯定を、「いいえ(No)」は常に否定を表す。
つまり、おばちゃんの「No toast?(トーストはいらないね?)」という否定の質問に対して、「いらない」という否定の気持ちを示すには、「No.」と答えなければならないのだ。
「Yes.(食べる)」と答えて、意に反してトーストを注文してしまうと、翌日の質問が「Toast?」になる。
ここで、いらないから「No.」と答えると、おばちゃんは「やっぱりこいつはトーストを注文しない日のほうが多いんだ」と思うのだろう。翌日の質問は、「No toast?」に変わる。で、私が誤解して「Yes.」と答える。
この繰り返しで、1日毎に不思議に思いながら、真っ黒にこげた薄いトーストを無理やりほおばっていた。
ちなみに、パン屋でよく見る「イギリスパン(山型の香ばしくてうまい食パン)」は、イギリスには存在しない。
次回予告;二度目の転職 その9 面接の準備
今日も勉強になりました。
さんきゅぅです。
by Flag☆Man (2005-08-06 12:18)
Flag_Manさんのお役に立てたようで、嬉しいです。
過去を思い出しながら書いているのですが、こういう小ネタも思い出せたら紹介していきます。
by YAP (2005-08-06 17:55)