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公道走行試験に対するパブリックコメントの募集について [仕事]

今日は、かなりまじめな固い話です。


国土交通省が、あるパブリックコメントを募集している。

内容的に、「仕事」カテゴリか「自動車」カテゴリか、どちらに投稿するか迷ったが、国民に広く意見を求めるという、パブリックコメントの主旨を考えると、興味を持つ方が多いと思われる、「自動車」カテゴリへ投稿させていただくことにした。

国土交通省が募集しているパブリックコメントのリンクは、こちら
(PDFファイルが開きます)

要は、クルマの安全性能、環境性能を向上させる観点から、自動車関連会社で開発中の新型車両やエンジン搭載車両の、走行試験を目的とした臨時運行を、許可運輸支局に届出をすれば、一般公道走行を認めるというものだ。

現在、日本では、開発中の車両を公道で走らせることが許されていない
それに対し欧米では、手続きをすれば開発車両を走行試験目的で公道を走らせることが許可されている。
私が過去に行った海外出張も、ほとんどがこの走行試験を目的としたものだ。

日本でも過去には、仮ナンバーを取得し、公道で走行試験をしていた自動車会社も少なくなかった。実際、私自身にもそういう経験はある。
これは、正式に許可をされていたわけではなく、「黙認」されていただけだ。
しかし、中には「走行試験」という名の下に、無謀運転を繰り返し、近隣住民に迷惑をかけて厳しく罰せられた自動車会社もあった
そういう非常識な例が後を絶たなかったため、今では開発車両に対する仮ナンバー取得は厳しく制限され、事実上、日本では公道での走行試験は一切認められないようになった。

日本の自動車関連会社のほとんどは、走行試験をする場合、テストコースを使用するか、シャーシーダイナモという、ルームランナーのクルマ版みたいな大型の設備で走行状態を模擬して行なっている。
(稀な例だが、輸出仕様であれば、その国へわざわざクルマを送って公道走行の許可を取り、走行試験をする場合もある。)

テストコースやシャーシーダイナモでの試験は、これはこれで、再現性のある安定したデータが計測できるのだが、一般で使用されるような走行を模擬できているようで模擬できていなかったりする。
実際に私が海外で走行試験中に体験した例では、郊外のフリーウェイをそれなりのスピードで走行しているときは何でもなかったものが、市街地で徐行しながら右左折をするようなところでギクシャクした挙動を示して慌てたりした。
これはほんの一例だが、日本のように、高温多湿の中での渋滞や、低速でのストップ&ゴー、短距離走行の繰り返し、等、欧米と比較すると、特殊な使用条件が多いだけに、開発中に一般道を走行できるとなると、かなり有効なデータが計測できる。
これによって、自動車開発のレベルは向上し、安全性能、環境性能の優れた商品ができるし、品質も向上するだろう

しかし、昔のように、自動車関連会社の無謀運転で一般住民に迷惑を及ぼす可能性は多分にある。
それを防止するために、国交省と警察庁は、違反した会社に対して厳しく処分を下してほしい。
例えば、「無謀運転で検挙された場合、その会社は3ヶ月新車販売を許可されない」くらいの厳罰にすれば、会社も社員教育を徹底し、問題行動は防止されるだろう。

いずれにしても、興味を持たれた方、ご意見のある方は、ぜひともこちらのページの意見募集要領をご覧になって、送っていただければと思う。

もちろん、私のこの記事へのコメントも大歓迎です。
 


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めぎ

試験走行を外国で行ってるんですか!?びっくりしました。
日本車ってドイツでもたくさん見かけますが、売り出す前にはドイツで試験走行しているんでしょうかね・・・?
by めぎ (2007-03-03 08:24) 

くっさめ

ニュースでは何回かこの無断試験について聞いたことがありましたが、YAPさんの記事でよく分かりました。
街中でテストができないのであれば、ユーザーの視点に立った開発はやはり難しいということですね。
この規制がなくなれば、性能が格段に上がりそうな気がしますね。
by くっさめ (2007-03-03 14:46) 

YAP

めぎさん、くっさめさん、コメント & nice! ありがとうございます。

めぎさん、
前の会社では、北欧の自動車メーカと一緒に、アメリカやスウェーデンに行っていました。海外のメーカは、実際に公道を走ってテストというのは多いですね。
日本メーカは、このような背景があるだけに、海外でテストすることは、そんなに多くありません。公道でのテストなしに量産というケースも珍しくありません。(それ故の市場品質問題増加は否定できません)
夏のデス・バレーくらいですね。海外で日本車がテストしているのを目にするのは。もちろん、こっそりどこかでお忍びで走ることはあると思います。

くっさめさん、
どうしても、テストコースや屋内の設備では再現できないことって多いんですよ。渋滞時のストップ&ノロノロなんて、意外と温度的にきついのに、再現させるのは難しいですからね。
市場の品質問題は、確実に減ると思いますし、量産前の確認評価も効率的になると思います。
by YAP (2007-03-03 18:30) 

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