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ネイティブ・アメリカン -先住民社会の現在 [雑]

ちゃんとした本をほとんど読まない私が最近読んだ本。

ネイティブ・アメリカン―先住民社会の現在 (岩波新書)

ネイティブ・アメリカン―先住民社会の現在 (岩波新書)

  • 作者: 鎌田 遵
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/01
  • メディア: 新書

 

以前からアメリカ先住民文化には興味があったが、昨年のアメリカ旅行以来、その思いはより強くなっていた。
しかし、私がこれまで見てきたものはほんの表面的なものに過ぎず、より理解を深めたいと思ってこの本を購入した。

ちなみに、アメリカ先住民の人たちは、自分たちを「ネイティブ・アメリカン」と呼ばれることに強い抵抗を示すらしい。
その土地には遠い昔から代々住んでいたわけだが、移民の作った国アメリカに暮らしていたわけではないということで。

 

自然を大切にしてきた生活や伝統的な文化、最近では、映画「アバター」に出てくる異星の先住民と重ねられたり、バンクーバーオリンピックでの開会式でのパフォーマンスで、神秘的なもの、崇高なものとして注目されてきている。
アメリカ人の間でも、先住民の精神世界に憧れ、純粋な白人でありながら「自分は先住民の血を引いている」と信じて、都会の喧騒から遠く離れた自然の中で質素な生活をしている人もいるという。

そういう「正」の部分がある一方で、「負」の部分も。
先住民の人々は、ヨーロッパからの入植者によって住むところを追われて今日に至っているというのは知っていたが、それは現在も、人種差別という言葉をはるかに超えて迫害と言えるほどのもので、大きく重くのしかかっている。
オバマさんが大統領になって、「差別のない世界」を目指すという宣言もあったが、たぶん、先住民の人たちのことは、とてもその対象に考えてもらえないほど遠い存在だろうと思う。

そんな現実を改めて知って、私がこんなブログタイトルにしたのは軽率だったかなあと考え込んでしまったりもしている。
私は間違いなく、「正」の部分だけを見て憧れを抱いていた部類だ。
けど、私が好きなアメリカの大自然は、先住民がずっと見てきて大切にしてきた世界であることは事実なので、厳しい現実を知った上で、このままにしておこうと思う。

この本の最後の方に書いてあったが、先住民の人たちのほとんどは、今では白人に自分たちの住んでいた土地(大陸)から出て行ってほしいと思っているわけではなく、平等な立場で共存、共栄できることを願っている。
代々ひどい仕打ちをされてきているというのに、争いを好まない優しさを強く感じる。

たった一冊の本を読んだだけで、とてもすべてを理解したとは思ってなく、やはりこれも表面的な知識のかけらに過ぎないのはわかっている。
もっと、いろいろ読んで、少しでも深く先住民のことを理解したい。
そして、今までとは違う気持ちで、いつかまたアメリカの大自然を見てみたい。


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hideyuki2007y

昨晩アバター観て来ました。開拓と先住民の葛藤は人類の歴史そのものという気がしてきました。アメリカ先住民は西欧人とは明らかに違う文明を築いてきたわけで、日本などのアジア人もその点は同じですよね。
by hideyuki2007y (2010-02-28 21:34) 

Jalana

訪れるのを機にその地を深く知ることはいいことだと思います。
アジアだと、日本が戦争の傷跡を残していることが多く
いろいろと考えさせられてしまいます。
by Jalana (2010-02-28 22:47) 

haru

憧れなどちょっとしたきっかけから、どんどん知識を深めていくってとってもステキなことですね。
旅って行ってるそのときだけじゃなくて、こうやって行く前も、帰った後も自分の中で続いて行くのかな、って思います。
だから、ブログのタイトルにした意味もちゃんと生きてるんじゃないでしょうか?
私も今、次に備えてめったに読まない本を読んでいるところ。
そこに今まで知らなかった出会いを感じています。
by haru (2010-03-01 03:24) 

いとお

私もアメリカ旅行して先住民の方々の素晴らしい文化に
出くわすことがよくありました。
いろいろ迫害も受け、ホントつらい想いもしてるんですよね。
共存共栄を願っているってホント素晴らしい。
やはり争いでは解決しないことは沢山ありますものね。
by いとお (2010-03-01 05:53) 

めぎ

世界の長い長い歴史の中では、アメリカ大陸に限らず、世界中で迫害が繰り返されてきましたね。古くはローマ帝国がゲルマン民族を追いやったわけですし、ケルト民族もほとんど消滅してしまいました。中国やモンゴルの辺りでもたくさんの民族が追いやられたり迫害されたりしたはずです。アメリカの歴史は比較的新しいし、アメリカ自体が世界の大国ですからこうして注目を浴びているけれど、先住民の迫害の問題はヨーロッパでは珍しいことはなく、したがって多くは世界中から注目を浴びることもありません。どの民族にも言い分があり、もはや正と負と簡単に説明できないほど複雑でもうどうしようもなくぐちゃぐちゃになっています。悲しいけれど、それが人類の歴史なんだな、という気がしています。
by めぎ (2010-03-01 06:04) 

YAP

hideyuki2007yさん、Jalanaさん、haruさん、いとおさん、めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。

hideyuki2007yさん、
世界中のいたるところで同じような悲しい歴史があるんですよね。
そういうのを、もっと伝えていくことも重要だと思いました。

Jalanaさん、
日本がアジア諸国に対して行なってきた行為も、やはり考えさせられますね。
多くの国の人々の中で、深い傷があるのだと思います。

haruさん、
美しい景色を見て喜ぶだけではなく、その奥にある歴史や文化を知ることで、旅はより深い意味を持つものになりますね。
数年に一度くらいしか大きな旅行に行けないので、こうして、深い旅にしていきたいと思います。

いとおさん、
アメリカで生活されていると、こういう問題もより身近に感じられることでしょう。
過去の歴史を変えることはできないですから、この現状を理解して、共存していくことを考えていくのが重要だと思いました。

めぎさん、
文明が発達するのが早かったヨーロッパでも、時代の違いがあるだけで、同じような歴史があるのですね。
狭い島国の日本の中でもあるわけですし。
ただ、迫害して来た側の言い分は、やはりエゴかなと思います。
それはそのまま、経済大国となった我々日本にも当てはまると思います。

きむたこさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-03-01 08:06) 

ナツパパ

これは深い問題ですね。
めぎさんも仰るように、それぞれで言い分がありますので...
でも、先住民の皆さんの、仲良く暮らしていきたい、という皆さんのお考えは素晴らしいなあ。
意識し続けることが大切ですよね、こういうことは。
by ナツパパ (2010-03-01 08:21) 

mayumi

憧れ、尊敬、そんな前向きな気持ちから生まれたブログの
タイトルはそのままお使いになってほしいなと思いました。
前の方も書いておられましたが、きっかけはそこから・・・
これからも、本の紹介など期待しております。


by mayumi (2010-03-01 12:55) 

ベアトラック

部外者である私は、あれこれ言う立場ではないと思い、アメリカ出張中でも言及することはありませんが・・・根深い問題が多々あると思います。
知人の先住民の人たちは、皆さん明るくて穏やかです。
より良い方向で共存していって欲しいものですね。


by ベアトラック (2010-03-01 16:35) 

YAP

ナツパパさん、mayumiさん、ベアトラックさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
世界中のどの地域でも、開拓という名の下に侵略、迫害の歴史はあったわけですが、私はどうしても開拓した側が都合のいい解釈、主張をしているような気がします。

mayumiさん、
なかなか本を読まない私なので、本の紹介はなかなか難しいと思います...
けど、先住民の文化や歴史はもっと勉強したいと思いましたので、また何か探して読んでみようと思います。

ベアトラックさん、
ベアトラックさんのほうが私の何倍も現地の実情を身をもって感じられていますよね。
先住民の人たちは、たくましいと思います。
もっと住みやすい社会になるといいと思います。

Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-03-02 08:02) 

GOMENTE

こういう問題については、なるべくクールに考えるようにしているんです。変に思い入れないようにと。とにかく種々雑多すぎるあの国の民族性を考えたら、どこを掘り下げても偏った見方しかできなくなるので。R66を走ったら白人を侵略者だなんて考えられなくなりますよね。それぞれに苦しみを味わってきているのがよくわかりますよね。
旅での出会いはボクが日本代表じゃないように相手もアメリカ代表じゃないわけでパーソナルな関係でのリスペクトだけを大事にしたいと思っています。
by GOMENTE (2010-03-02 23:36) 

YAP

GOMENTEさん、コメント & nice! ありがとうございます。
皆さんのコメントを読ませていただいて、私もいろいろと考えさせられています。
たしかに私の視点は偏っているのだろうと思います。
けど、知っておかないければならないことがまだまだあるような気がして。

いっぷくさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-03-03 07:42) 

フェイリン

旅行を通してその国の文化に興味を持てるって幸せですよね。
行き甲斐があると言いますか意味のある旅だったと言いますか…
by フェイリン (2010-03-03 10:16) 

YAP

フェイリンさん、コメント & nice! ありがとうございます。
どうせ行くなら、それなりに意味のある旅にできればと思っています。
ふつうのサラリーマンだと、なかなか旅行に行くことができないので。

toraneko-toraさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-03-05 19:50) 

YAP

いささん、ta58743さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2010-03-07 18:40) 

アヨアン・イゴカー

日本のアイヌ問題も、同じだと思います。
祖先たちが力で奪ってしまったものを、我々の時代に責任を持って対応することは非常に人間的でよいことだと思います。単に、歴史の一齣として忘れ去ることは、私にはできません。
YAPさんのブログに興味を抱いたのも、実はYAPさんの他者への思いやり、優しさが感じられたからです。
by アヨアン・イゴカー (2010-03-09 01:14) 

YAP

アヨアン・イゴカーさん、コメント & nice! ありがとうございます。
なんだか私を過剰評価していただいているようでお恥ずかしいのですが、ありがとうございます。
双方の立場で言い分があるのはわかるのですが、やはり強者側の都合のいい論理がまかり通っている気がするんですよね。
今さら昔の状態に戻ることはできないので、いかに共存していくか、その過程の中でも、悲しい歴史を風化させてはいけない、そう思います。
by YAP (2010-03-09 07:56) 

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