帰郷記 追憶 その1

私の実家は、数年前に私の生まれ育った町からそう遠くない少し大きな街に引っ越した。
それ以来、生まれた町にはほとんど行っていない。
いや、実家の引越し以前も、駅や空港から実家までの道と、幹線道路沿いの景色くらいしか見ていなかったので、私の記憶の中では、既に20年くらい前で止まっている。
何もない小さな町だったが、その古い記憶を辿りたくなったのも、やはり今年がいつもの年と違うせいなのか。

ローカル線で降りた故郷は、まず、その駅舎からして大きく姿を変えていた。
私が高校通学で利用していた記憶は、もうその形を残していない。

 

 

まず向かったのは、小学1年生の秋まで暮らしていた地域。
幹線道路の角にあったスーパーは、マクドナルドに姿を変えていた。
この交差点の対面にあった古い和風のレストランがあった場所は、跡形もなく更地になっていた。
時代の移り変わりもそうだが、こんな小さな町にまで進出するマクドナルドの戦略にも驚いた。

 

田舎はクルマ社会で、自転車に乗る中学生の姿は見ても、歩く人の姿はほとんどいない。
カメラなんて手にしていたら、まさにストレンジャー。怪しまれて通報されても不思議はない。
ということで、少々離れた位置からの撮影だが、上の写真赤丸辺りに私の生家があった。
当然のように今はもう残ってない。

 

私の記憶にまったく残っていなかったのだが、その生家の近くに小さな神社のような社が。

 

　

しっかり狛犬さんも鎮座している。

 

細い路地を入ったところにあったのは、当時銭湯だったところ。
当然のことながらもう営業していないが、建物がそのまま残っていた。

 

そのまま歩いていくと、小さな港に出る。
この小さな町を象徴するこの景色をブログに載せるか迷ったが、まあ、誰も知らない田舎町のショットだし、昔からの友人向けのサービスということで。

 

港沿いに、当時はまだなかった新しい橋を進んで行く。

コメント 13

かわらないことって、
かわることより難しいことかもしれませんね。
懐かしい場所のキオクをたどる旅っていいな。
きむたこもいつかキオクをたどりに行けたらいいなぁ・・・。
かわっていても、かわっていなくても、きっと懐かしい。
by きむたこ (2011-09-11 20:25) 

最後の写真の橋は、そのまんま現代だという感じですね。
私の実家周辺は、幼い頃から様変わりした所もあれば
少女だった頃のままの所もあるけれど
でも、どんなに変わっても、故郷は故郷だという気持ちになると思います。
by ながつき (2011-09-11 22:10) 

追憶する時には、モノクロってすごく合いますね。
何かがあったんだ、というわくわくする感じがします。
by ＨＩＲＯＭＩ (2011-09-11 22:28) 

気持ち、すごく分かります。
私も昔育ったところを訪れてみたいな～って思ってます。
今の実家は、中学３年の時に引っ越した場所で、高校を卒業したら東京に来てしまったので、正直あまり「実家」という気がしません。
物心ついたときから、中学２年まで居た場所。
そこを散策してみたいなーって思います^^
by リュカ (2011-09-12 07:41) 

いい感じの街ですね。
今のところ、こういった街が日本中に残っている訳で。
これからどうなっていくのか、、、。
帰省の煩わしさを感じつつ、こういった故郷を持っている幸せを感じることも多いですね。
by トリバン (2011-09-12 07:42) 

きむたこさん、ながつきさん、HIROMIさん、コメント & nice! ありがとうございます。

きむたこさん、
変わってないようで変わったこと、変わったようで変わらないこと、いろいろなことを感じることができました。

ながつきさん、
最後の写真の橋は、私が住んでいた当時はない道でした。
この道沿いを歩いていくと、郵便局や図書館が移転していたり、町の機能も移動していました。

HIROMIさん、
モノクロにしたのは、ノスタルジックな雰囲気を出せると思ったことと、もうひとつの理由は色を消すことで写真の場所が特定しづらいということです。
まあ、わかる人が見ればわかるんでしょうが。

Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2011-09-12 07:43) 

リュカさん、トリバンさん、コメント & nice! ありがとうございます。

リュカさん、
私のケースとよく似た境遇のご実家ですね。
私も今の実家に帰省しても、なんとなくよそのお宅に遊びに行っているような感覚です。

トリバンさん、
故郷を離れた人間からすれば懐かしい景色なのですが、やはり過疎化が進む地方の小さな町というのは事実でして．．．
それを考えると、日本は本当に豊かになっているのかと疑問に思ったりもします。
by YAP (2011-09-12 07:47) 

懐かしい風景に出会って、ＹＡＰさんの静かな興奮が伺えます。
街並みが変わってしまうのは寂しいことですよね。
わたしが子どもの頃育った街並みは、道路の改修工事で軒並み消えちゃいました。
それでも、かすかな痕跡があって、そこだけ懐かしいです。

こちらも素敵な狛犬ですね。
尾をピンと立てて、躍動的な姿形が良いなあ。
by ナツパパ (2011-09-12 18:02) 

白黒の写真が、ＹＡＰさんの想い出の中をお散歩させてもらった
ような気分になりました。
子供の頃の思い出・・・を、思い返すと、最初に浮かぶのは
近くにあった公園の木。　しょっちゅう木のぼりして、そこで
風に吹かれるのが好きだったんですよね。
私もその公園に行ってみようかなぁ。　木も公園もなくなってたりして（＾＾；
by junko (2011-09-13 00:54) 

お生まれになったところに立っている今の家は、ちょっと見は古そうなのに、これでも建て変わっているのですね。
海の近くで素敵なところですね。老後はこういうところに住みたいなあ・・・
by めぎ (2011-09-13 03:53) 

ナツパパさん、junkoさん、めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
ヨーロッパとかでは、昔からの伝統的な街並みを残す努力をどんな街でも惜しまずやっていますが、日本は｢再開発｣という名の下にまるっきり違った景観にしてしまう手法をやりますよね。
それがなんとも残念なところです。

junkoさん、
思い立ったときにその公園に行ったほうがいいですよ。
私も何年か前に帰省した際、通っていた小学校に行ってみたら完全に立て変わっていてがっかりしたことがありました。
こんなこともあるかもしれないので、一日でも早いほうがいいとおもいます。

めぎさん、
この一見古そうに見えるお宅は、当時住んでいた家の大家さんだった方の家で、所有していた借家を壊していかにも和風な大きな家を建てられていました。
by YAP (2011-09-13 08:02) 

「ふるさと」ということばが、ぴったりくるような、どこか懐かしくてのどかな風景ですね。
できれば、無理な開発などはせず、町並みや風景の良さを残していってほしいなと思いました。

大規模チェーン店が建ち並び、便利かもしれないけど独自色はなく、味気ない地方都市が多くなってきましたので・・・（わたしの住むまちがそうなんですが）
by mayumi (2011-09-16 12:30) 

mayumiさん、コメント & nice! ありがとうございます。
私が生まれ育ったこの町も、マクドナルドができたくらいですから、時代の波には勝てないようです。
町から少し離れてしまうと、昔からあった小さなスーパーとかが軒並みつぶれているようですので、ちょっと心配です。
by YAP (2011-09-16 16:36)