2012 秋のお出かけ サントリー白州蒸溜所 [工場見学へ行こう!]
この日の宿泊先にクルマを駐車させてもらい、徒歩でJR小淵沢駅へ。
11月までの土日祝日は、ここからサントリー白州工場への無料シャトルバスが発着する。
下戸のくせにお酒が好きな私だが、実はビールよりもウイスキーのほうが好みであるので、ぜひともウイスキーの蒸溜所は見学したかった。
シャトルバスは山梨交通の車両で、中は普通の路線バスと同じ。
工場への途中、美しい日本の田園風景が広がっている。
バスの窓が汚れていて、ソフトフィルタがかかったようにしか写らないのが残念。
サントリー白州工場へ到着。
こちらには、ウイスキー蒸溜所と天然水工場がある。
1923年にウイスキーの製造を始めたサントリーは、50周年となる1973年にここ白州に第2の蒸溜所を開設した。
受付を済ませ、敷地内の集合場所へ。
では、ウイスキー蒸溜所見学ツアーへ出発!
蒸溜所の建物まで、美しい森の中を抜けていく。
蒸溜所の建物の中へ。
最初にパネルで少しお勉強。
ウイスキーの原料は、大麦と水のみ。
麦焼酎やビールとあまり大きく違わない原料でまったく異なる味わいを生んでいるのは、当然のことながら製法の違いによる。
特に麦焼酎とは製造工程がよく似ているが、二度の蒸溜と樽の中での熟成により、独特の深い味と香りを作りだしている。
最初に見たのは仕込み工程の仕込槽。
ここでまず砕かれた麦が温水とともに仕込まれる。
麦のデンプンが糖分に変わり、ゆっくりと時間をかけて濾過され、澄んだ麦汁となる。
続いて発酵工程。
麦汁に数千種の酵母の中から厳選された酵母を加え、発酵が始まる。
発酵槽には保湿性に優れた木桶槽が使用され、蒸留所内に棲みつく自然の乳酸菌などの働きにより、豊かな味わいが加えられる。
発酵槽の一部は見学者用に目視できるようになっていた。
発酵して白い泡が発生しているのが見える。
続いて蒸溜工程。
この大きなポットスチルと呼ばれる蒸留釜を用い、初溜と再溜の2回行なわれる。
手前に大きく写っているのが初溜用のポットスチルで、通路を挟んで右方向に見えるのが再溜用のポットスチル。
二度の蒸溜工程を経て、ニューポットと呼ばれるモルト原酒となる。
この時点ではまだ、無色透明の液体。
写真ではわかりにくいが、ポットスチルにある小さな窓から、蒸溜のために煮沸される原液が見える。
続いて、貯蔵エリアへバスで移動。
外から見たら倉庫の入口くらいにしか見えない、なんてことない扉の中へ。
一歩中に入ると、強いウイスキーの香りが。
この香りの強さで2,3名の方はギブアップし、バスに戻られた。
オーク樽に詰められたウイスキーは、この倉庫で静かに眠りながら少しずつ熟成される。
この熟成過程の中でオーク材の成分が少しずつ抽出され、美しい琥珀色とスモーキーな独特の木香が加わっていく。
倉庫内の温度管理は一切されていないということで、夏の暑い時期は中のウイスキーは膨張して樽の隙間から浸み出し、冬の寒い時期は収縮して美しく澄んだ空気を存分に吸う。
そんな自然のままの変化を何年も繰り返していく過程で、ウイスキーの量は最初の充填時からほんのわずかずつ蒸発しながら減っていくということだが、この自然の変化によっておいしく熟成させてくれる見返りとして、神様がちょっとずつウイスキーの熟成度合いを確かめているために減っていくとも言われていて、このわずかずつ消えていく分を「天使の分け前」と呼んでいるそうだ。
なんともロマンを感じる話。
暗い倉庫の中で静かに熟成されるウイスキーの樽の美しさ。
白州蒸溜所が開設された1973年からの樽もいくつかある。
徹底された温度管理のもとに鮮度を命とするビールとほとんど同じ材料を使いながら、全く逆の考えで価値を高めていくウイスキーの不思議なこと。
さあ、見学の後は、お楽しみの試飲会場へ。
ウイスキーの製造は、きれいな水と激しい気温差が重要だということで、サントリーは南アルプスからの天然水が流れるこの白州という場所に決めたとのこと。
この試飲会場の大きな窓からも、その美しい白州の森がよく見える。
最初の一杯目は、もちろんシングルモルトウイスキーの白州をハイボールで。
何となく量が少なく感じるが、ビールと比べてお値段がお値段なのでこれはしかたないところだろう。
我が家で普段飲むウイスキーは高くても角瓶で、700mLで1000円以下のものを買うことも珍しくないのだが、なるほど、ウイスキー独特の燻したような香りが芳醇でありながら、口当たりはひじょうに優しく柔らかい。
...てなことを書いているが、はたして私の舌がそれを判別できているかどうかは怪しい。
試飲の量が少ないのは、意外と下戸にはありがたい。
ということで、二杯目に、白州12年をこれを仕込む天然水(=サントリー天然水南アルプス)で水割りしたものをいただく。
う~ん、やはり貧乏舌の下戸には正直なところ違いがよくわからないが、より香りが強い気がする。なんてね。
並べて飲み比べたときに違いはわかるかもしれないが、利き酒みたいに当てるのは難しいだろうなあ。
<工場見学情報>
休館日;年末年始・工場休業日を除く毎日
場所;山梨県北杜市白州町鳥原2913-1(11月までの土日は、JR小淵沢駅よりシャトルバスが運行)
見学料金;無料
写真撮影;写真撮影はOK。動画撮影及び音声の録音はNG。
予約方法;インターネット(https://ssl1.suntory.co.jp/apl/rvs/factory/search?SYSTEM_ID=FHJ)、または電話(0551-35-2211, 受付9:00~16:30)
こちらのウイスキー蒸留所は、私たちが参加した無料ツアーの他に、より深く知識を学べる有料のツアーも開催されている。
興味のある方は、ホームページを
http://www.suntory.co.jp/factory/hakushu/index.html
森のお散歩の後にウィスキーだなんて、とってもステキですね!
おいしいお酒がさらにおいしくなりそうです。
by knacke (2012-09-16 19:53)
つい先日、こちらの地ビールの醸造所を見学したんですよ。似たような機械が並んでいましたが、なにしろ地ビールなんですごく規模が小さかったです。でも一週間に何万リットル生産しているとか、胸を張って説明されました。そして、ウィスキーも作っていると言ってましたわ。
by めぎ (2012-09-16 20:19)
素晴らしい環境の醸造所ですね。
きっときれいな水が流れているのだろうなあ。
わたしは試飲のグラスに一目惚れしてしまいました。
by ナツパパ (2012-09-16 20:35)
北海道より自然の多い所ですね。笑
無料バスが出ているのも、さすがサントリーさんといった感じです。
ウイスキーの飲める大人になりたいです。。
by koyuki (2012-09-16 23:20)
小淵沢から土日はバスが出ているとは知りませんでした。
一度行ってみたいなとは思っていたものの
車で行くと私だけ(運転手なので)飲めないからと
近くを通っても通過していました(笑)
緑が多くてとても素敵なところですね。
by kuwachan (2012-09-16 23:21)
いいですね~!
私も、山崎行ってみようかな。
てか、関西通勤では毎日蒸留所前を通過してますし。(笑)
by トリバン (2012-09-17 07:38)
knackeさん、めぎさん、ナツパパさん、koyukiさん、kuwachanさん、トリバンさん、コメント & nice! ありがとうございます。
knackeさん、
この森の雰囲気もなかなかのものでした。
きちんと環境を保全しているという感じでしたよ。
めぎさん、
地ビールの醸造所も楽しそうですね。
ドイツは小さな醸造所がたくさんあるでしょうから、それぞれの個性も面白いでしょう。
ナツパパさん、
ここは天然水の工場もあり、水の環境は申し分ないです。
グラスは気にしていませんでしたが、ああ、たしかに素敵なグラスですね。
氷のカランという音がきれいでした。
koyukiさん、
サントリーは武蔵野ビール工場を見学したときもそうでしたが、写真撮影もOKで、他のビール会社とは違ってフレンドリです。
ウイスキーも昔のようなおっさんの飲み物からはずいぶんと幅広い年齢の人に受けるものに変わってきている気がします。
kuwachanさん、
私たちは一泊で行きましたが、首都圏から日帰りも十分に可能です。
冬季はシャトルバスも運行しないようなので、お早めにどうぞ。
トリバンさん、
先日、トリバンさんのウイスキーグラスの記事があったので、いいタイミングになりました。
山崎はやはり日本ウイスキーのパイオニアとしての歴史があるので、こちらも行ってみたいです。
せっかく近いのですから、ぜひ行ってレポートをお願いします。
tochiさん、da-kuraさん、わけんさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-09-17 07:57)
一度行ったことあります。
ゴルフに行こうとして、雨で途中でキャンセルし、転戦しました。
車でしたが家人に運転させてウイスキー飲みました。^_^);;;
by Lionbass (2012-09-17 08:43)
Lionbassさん、コメント & nice! ありがとうございます。
思いがけない見学だったのですね。
当日の空きがあってよかったですね。
ソニックマイヅルさん、マチャさん、あんぱんち~さん、むっちさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-09-18 06:53)
利き酒とか、利きなんとかが出来るのって、
やっぱり、好きなものになってきますよね(^^)
私もあんまり飲めないので、こっちが好き・嫌いということしか
言えないと思います(^^;
by junko (2012-09-19 12:33)
上野の駅構内に「森香るBAR」があって、白州の森を眺めながら飲んでいるような雰囲気になってます^^
(壁紙が森の写真というだけですがw)
そこでは白州が飲めるのですが、実際にサントリー白州工場で飲めるのは良いな♪♪
by リュカ (2012-09-19 15:43)
junkoさん、リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。
junkoさん、
まあ、好きか嫌いかが判別できればいいのではないでしょうか。
私なんて、いつもの角瓶で満足できているので、安上がりなもんです。
リュカさん、
上野駅にそんなスポットがあるんですね。
サントリーのHPを見てみたら、ありますね、森香るBAR1973というお店が。
1973は、白州蒸溜所ができた年ですね。
shin.sionさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-09-20 07:51)
ベアトラックさん、テリーさん、HIROMIさん、yamさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2012-09-21 07:47)
ビール工場も良いですが、ウィスキー工場はもっと見応えがありそうですね。白州は癖がなくて呑みやすいと思います。どうしたら輸入物スコッチのような癖が出てくるのか知りたいです。
by hideyuki2007y (2012-09-23 20:45)
hideyuki2007yさん、コメント & nice! ありがとうございます。
味わいは原料にとうもろこしを使ったり、樽に使う木の種類とか、そういったもので複雑に変化するそうです。
シングルモルトの白州の味わいは、すっきりと透明感がありますね。
by YAP (2012-09-24 07:39)
数名の方がギブするくらいの香りの中へ入ってみたいです!
お酒と夜の街の景色もいいですが、森の中での一杯も美味しそう。
by あおい (2012-09-24 14:46)
あおいさん、コメントありがとうございます。
ウイスキーの香りはお好きですか?
だとしたら、この貯蔵庫の中はたまらないと思います。
森の中の澄んだ空気の中の一杯は、格別でした。
by YAP (2012-09-25 07:45)