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東京モーターショー2007 その4 注目すべきエンジン技術 [仕事]

華やかなコンセプトカーが目立っているが、私としては、パワートレイン関係の技術に目が行く。

参考までに、少し前に私が書いていたエンジン関係の記事へのリンクを貼らせていただく。
ハイブリッドシステム
ディーゼルエンジン
ガソリンエンジン その1 その2

 

トヨタはやはり自慢のハイブリッド技術を大きく展示。
フラッグシップである、レクサスLSのカットモデル。
欧州メーカーも軒並みハイブリッドを市販しそうだが、欧米でのメリットは少ないため、まだまだ本腰を入れているようには見えない。
ハイブリッドに関しては、まだしばらくは日本メーカーの独壇場だろう。

 

トヨタでもう一つ注目したのは、国内初となる可変バルブリフトエンジン。
これは既にノア/ボクシーに搭載されて市販されている。

 

ニッサンも同様のエンジンをスカイラインクーペに搭載して量産を開始した。
可変バルブリフトは、これまでBMWだけが量産していたのだが、遅れること約6年、ようやく日本からも追随する技術が世に出た。
ただ、克服すべき課題も多い難しい技術であり、熟成されて第2世代となったBMWとの差はまだ小さくはない気がする。

その可変バルブリフトで世界をリードしているBMWは、自慢のエンジンラインアップをずらりと展示。
さすが、エンジン技術では他社に負けないという自信がうかがえる。

 

日本のメーカーでは、マツダの展示が充実していた。
次世代のガソリン直噴エンジンやディーゼルエンジンがわかりやすく解説してあった。
ガソリン直噴に力を入れているところは、欧州メーカーと同じ技術志向か。

 

その他、目立っていたのはディーゼルエンジンの展示が多いこと。
地球温暖化が世界中で問題となっているだけに、CO2排出の少ないディーゼルに各社とも力を入れているのがわかる。

 

ミツビシ                                ホンダ

 

 

ニッサン                               メルセデス・ベンツ

 

 

アルファロメオ                          フォルクスワーゲン

もちろん、他社も展示多数。

 

もうひとつ技術展示が充実していたと思ったのはフォルクスワーゲン。
こちらはダウンサイジングコンセプトのTSIのターボチャージャーのみの仕様。
おそらく、ゴルフのベースグレードやポロに展開していくと思われる。

エンジンではないが、パワートレインつながりということで、同じくフォルクスワーゲン自慢のトランスミッション、DSGの7速仕様。
同様のツインクラッチを持つ自動MTがニッサン(GT-R)とミツビシ(ランエボX)から発表されたが、それらの完成度が気になるところ。(日本のは内製?ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください)
フォルクスワーゲンが、まだ大排気量(大トルク)車に拡大できていないだけに、日本メーカーもかなりのレベルで完成させたのかもしれない。

 

部品メーカーのブースは、技術的な内容が充実しているため、自動車業界人にとっては完成車メーカーのブースよりも興味深く見るのだが、残念ながら今回は2年前と比較して目新しい技術が少なかった。
ということで、記事もこれにまとめてしまう。

目新しい技術なのかよくわからないが、ひじょうに気になったシーメンスのEGR配管中の触媒。
こんな高価なものをつけて、どんな技術メリットがあるのか説明員に質問したのだが、説明員もわからず。
三元触媒なのかさえわからなかった。

 

こちらはヴァレオのサーミ・バルブという、サーモスタットの機能を拡張したようなバルブ。
水温によって冷却水の回路を切り替え、暖機促進と冷却性向上を両立させようというもの。
こんなところにも電子化の波が進んでいる。
アイディアとしては前からありそうだが、最新のエンジンでは当たり前なのだろうか?
私が関わっているお客のエンジンではまだこの手のものは見たことがない。


ネタを細かく切って延ばした東京モーターショー関連記事は、これにて終了です。
今回のように固い話もありましたが、閲覧していただいた方の人数を見ると、クルマ離れが進んでいると言われている割りにはけっこうな方々に読んでいただき、ありがたく思っております。

中国やインドの市場が伸びているとはいえ、今の地球環境を考えると、自動車業界の未来は決して明るくないと思います。
ここまでクルマが普及してしまうと、完全にクルマがなくなる社会というのは現実的ではありませんが、それだけに私たちの仕事はまだまだこれからだと思います。


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きょうパパ

モーターショウの記事、興味深く拝見しました。
仕事系ですと、私は、ダッシュボード周辺の情報機器系の話になってしまい、YAP様専門?のパワートレイン系とは異なるのですが、それでもクルマに詳しい方のお話は、ついつい仕事モードで惹き込まれてしまいます。
写真もすごく綺麗に撮れていますよね。勉強になります!
by きょうパパ (2007-11-11 20:29) 

ブルーメン

素晴らしい解説ありがとうございます!
エンジン部分、一番大切なので勉強になりました(^^)
ディーゼル車、欧州は殆どこれです。
燃料の価格も低く、環境にもいいので嬉しいです。
最近日本の若い世代の車離れをニュースで知り驚きました!
by ブルーメン (2007-11-12 06:36) 

YAP

きょうパパさん、satoeさん、コメント & nice! ありがとうございます。

きょうパパさん、
インパネ周りも情報化とともに進歩が著しいですね。
モーターショーでも注目すべきものが多かったのではないでしょうか。

satoeさん、
ヨーロッパでのディーゼル車の普及はすごいですよね。
環境対応技術を積極的に開発していますし、国としても真剣に取り組んでいるという姿勢が見えて、日本やアメリカとは違う気がします。
by YAP (2007-11-12 08:03) 

ナツパパ

以前は、ディーゼルエンジンは環境破壊の悪役でしたっけねえ。
変われば変わる...いえいえ、技術の進歩なんですね。

そうやって技術を熟成させていくのも、会社や技術者の大切な役目ですよね。
それはきっと、競争があってこそできることなんでしょうね。
by ナツパパ (2007-11-12 09:49) 

YAP

ナツパパさん、コメント & nice! ありがとうございます。
10年くらい前まではディーゼルは悪役でしたが、今ではこの業界の主役にまで成長して来ました。
日本ではまだまだイメージ先行で環境に悪いという意識を払拭できていないのが残念ですけど。
by YAP (2007-11-13 08:02) 

トリバン

スミマセン。
可変バルブリフトの車(多分)に乗っていながら何なんですが、日本車には無いのですが!知らなかった。(-_-;)
ちゅうか、HondaのVTECとかは違うのですか?(スミマセン、素人の素朴な疑問です。)

そういえば、昔々の東京モーターショーで、トヨタの2ストロークDOHCの展示に感動した記憶が蘇りました。
by トリバン (2007-11-13 11:20) 

YAP

トリバンさん、コメントありがとうございます。
VTEC は簡易的なLow/Highリフトの2段切り替えのもので、連続可変式のBMWバルブトロニックとは異なります。
難しい技術なのです。

めぎさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2007-11-14 08:07) 

Jalana

こうやってエンジンを並べてみると、この形自体がアートです。
各社の技術の粋なんでしょうね。
by Jalana (2007-11-17 23:28) 

YAP

Jalanaさん、コメント & nice! ありがとうございます。
展示会用に見栄えよく塗装していたりもしますからね。
アルミの地肌のままではなく、クロム系のシルバー塗装していたり。
普段は直接見えない部分ですので、こうして並べてもらうと、うれしくなってきます。

いっぷくさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2007-11-18 09:34) 

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