次期愛車への道 シトロエン DS3 Sport Chic [クルマ]
「次期愛車への道」の第2弾は、シトロエンのDS3。
シトロエンは、車名に "C" と数字で表記されるスタンダードなラインナップに対して、スポーティな "DS" ラインというモデルを数年前から展開している。
DS3 は、その中でも最もコンパクトで廉価なモデルとなる。
中でも SportChic というグレードは6MTも設定されており、まさにこれが私の対象となる。
シトロエンは現在、この DS3 で世界ラリー選手権(WRC)に参戦しており、ドライバー、チームともに現在のチャンピオンである。
それだけスポーツ色を前面に押し出したモデルだ。
まずは、エクステリアとインテリアを。
試乗車のカラーはブルーベリル。
ルーフの色は標準で黒と白から選択することができ、ドアミラーもルーフ同色となる。
MINI が先鞭をつけたルーフ異色のツートーンカラーは、最近は多くのクルマで採用されている。
つり上がったヘッドライトが少々攻撃的な感じがあるし、全体的にちょっと子供っぽいデザインにも見える。
一方で、リアはすっきりしていて好みだ。
この試乗車に対して、今年のモデルはリアのライトのデザインを変更したとのこと。
ショウルームの展示車でそれを見せていただいた。
赤い LED が奥に並び 3D のように光る。
インパネは比較的スタンダードなレイアウトだが、バイザー部分の先端が吹き抜けた独特の形状となっている。
センター部のパネルには、各種ワーニングやオンボードコンピュータのメッセージを表示するディスプレイ、エアコン、オーディオが縦に並ぶ。
試乗車にはカーボン調のパネルが貼られていたが、ルーフカラーをホワイトにすると、このパネルも白いものを選択することが可能となる。
同クラスの国産車と比較すると、同じような樹脂素材を使っていながらも圧倒的に質感が高い。
ステアリングコラムは、チルト調整だけでなく、このクラスでは珍しくテレスコピック調整も付いている。
シートの前後スライド、リクライニング、座面高さの調整と合わせて、最適なドライビングポジションを得ることができる。
3ドアなので後部座席へは前席を倒してのアクセスとなる。
身長平均的、座高平均以上の私が座って頭部を確認。
リアハッチが切り立ったスタイルのおかげでルーフは後方まで延びていて、高さ方向に窮屈感はなく快適。
写真を取り忘れたが、脚回りも楽だった。
うれしいのは、5人乗りだということ。
もちろんこのクラスのクルマの後席に大人3人が乗るのは苦痛以外の何物でもないが、いざというときにそれだけの人数が乗れるというのはいいことだ。
トランクは、全長4mに満たないこのサイズながらかなりの大きさ。
可倒式リアシートの分割は左右非対称。
続いて、エンジンとトランスミッションについて少し触れておく。
エンジンは、BMW と PSA(プジョー・シトロエングループ)が共同開発した、1.6L 直噴ターボ。
BMW が誇るバルブトロニックと呼ばれる可変バルブリフト機構も採用されていて、高効率を実現したユニットである。
このエンジンは、BMW では MINI だけでなく縦置きにして 1シリーズにも搭載されているし、PSA 側はプジョー&シトロエン両ブランドでかなりの車種に搭載されている。
プジョー508やシトロエンDS5のような大柄なモデルにとっては今流行りの過給ダウンサイジングエンジンと見なすことができるし、DS3のような軽量コンパクトなモデルにとっては高出力ユニットと見ることができる。
トランスミッションは、左奥前側がリバース位置となるパターンレイアウトの6MT。
リバース時は、シフトノブ下のカラーを引き上げながら左奥へと倒すタイプ。
では、試乗させていただきましょう。
クラッチペダルの踏力は私の MINI よりは少し軽めだが、先月試乗したトヨタ86に比べれば重くしっかりとした感じ。
これくらいの踏力を必要とした方が私の好みだ。
クラッチがミートする位置が私の MINI と近いのか、勢い良く回転が吹け上がり過ぎることなくスムーズに発進。
エンジンは軽快そのもの。
ターボならではのトルク感とともにレスポンスも敏感で、回転が気持ち良く上昇していく。
バルブトロニック採用ということで、極低速域でのドラビリとエンジンブレーキの効き具合を心配していたが、いずれも問題なし。
特に、極低速のドラビリは変なサージやシャクリ感もなく、非常にコントロールしやすい。
これなら都市部の渋滞でも神経質になることはないだろう。
シフトフィーリングはもう少し重い方がうれしいのだが、きちんとした節度感もあるしストロークも短く、十分に合格範囲。
クラッチのフィーリングと合わせて、いきなりスムーズに走らせることができた。
フランス車ということで、脚回りの感覚がどうだろうと興味があったが、固めではあるもののガチガチではなく、しっかりストロークしたものがスーッと早く収束するような感じ。
試乗コースで路面の舗装状態がよくない道があったのだが、変に暴れることなくしっかりとショックを吸収して安定していた。
ブレーキのタッチもしっかりしており、効きもなかなか。
ステアリングも軽すぎることはなく、路面のインフォメーションの伝わり方も自然で安心感がある。
運転していてちょっと気になったのは、フットレストの位置。
なんだか妙に位置が高くて、そこに左足を乗せていると、不自然に左膝が曲がる。
かといって、クラッチペダルの左側に足が入るスペースは全くなく、左足はここに乗せておくしかない。
では、恒例の自己採点を。
エンジン；10点
とにかく軽快でよく回る。
一方でドラビリ等の適合がしっかりなされており、扱いにくさもない。
ターボというものは、一般的に応答遅れ(所謂ターボラグというヤツ)が起こってしまうのだが、このエンジンはスカベンジングと呼ばれる掃気効果で残留ガスの減少とタービンの回転維持を積極的に行なうことで、そのターボラグをほとんどなくしている。
ちょっとくらい文句をつけたくても、それが見つからない。
ただひとつ心配なのは、バルブトロニック、直噴、ターボと、あれこれ最新技術のてんこ盛りで10年先までの信頼性がどうなの？というところ。
もちろん、開発中は各種耐久評価もやってきた上で市場に投入されているのだが、短期間に凝縮したような耐久テストは経時変化まではわからないので、この先が気になる。
燃費は、JC08モードで 14.1km/L。
エミッションは、ユーロ5。
トランスミッション；7点
そう悪くはないが特筆するほどに良くもない。
まあ、及第点よりはちょっといいかな。
前述したが、もう少しタッチが重くていい。
ギア比は、少なくとも私の MINI よりははるかに日本の道に合っていると感じた。
操安性；8点
しっかり効いてくれるブレーキは安心感が高い。
脚回りの固さも適度で、スポーティさと乗り心地を高いレベルで両立している。
混雑する市街地ではなく、ワインディングで走ってみたいものだ。
デザイン；6点
悪くはないが、フランス車らしい小洒落た感じがなく、ちょっと幼く感じる。
ルーフが浮いているように見えるデザインも、どこか MINI のパクリ感もあり．．．
コストパフォーマンス；6点
メモリタイプナビ、ETC、ドライブレコーダをオプションに着けて車両本体で 296万円。
私の MINI とほぼ同じ車格で同じ価格帯だが、DS3 の方がかなり質感高く感じる。
少なくとも、日本車の同クラスのクルマと比べると、そこには大きな壁がある。
もちろん、日本車ではこういう｢プレミアムコンパクト｣と呼べるような同列で比較できるクルマがないのだが。
エクストラポイント；2点
どう表現すればいいのかわからないが、とにかくしっくり来たことに対してのポイント。
まるで何年も乗っているクルマであるかのように、思い通りに反応してくれて、自分との相性のよさを感じた。
総合；39点
エクストラポイントで加点したにもかかわらず、そこまで得点が伸びなかった。
実は、試乗前の印象では、「とりあえずMTの設定があるから乗っておくか｣くらいの気持ちだったが、この乗り味がすっかり気に入ってしまった。
言葉ではうまく説明できないが、私の所作にいきなりピッタリとはまった感がある。
それに、心の底から湧き上がるエモーションを感じることができる。
というわけで、個々の項目の点数を合計するとこの程度の点数にしかならなかったのだが、かなりの好印象である。
まだ2台しか見ていないのに、今すぐにこれを買ったとしても、たぶん後悔しないだろう。
もちろん衝動買いなどはしないが。
気になるのは、現代のフランス車の信頼性が如何ほどのものなのか。
今の場所に住んでいる分にはディーラ－もそう遠くないところにあるのでいいが、全国的なディーラー網の少なさも気になるし。
その昔、私がユーノスロードスターを購入した頃は、マツダのユーノス販売店でシトロエン車を取り扱っていた。
そのときに担当セールスマンと話をしたときには、｢やっぱりフランス車はよく壊れますよ｣ということを言われていた。
それから既に20年以上経ち、PSAは日本で二番目に売れている輸入車メーカとなった。
時代とともにそれなりに品質は向上しているだろうと思うのだが．．．
なにしろ、マイナーな車種なだけに web 上の情報も少ないのですよ。
だれかシトロエン乗りの人がこのページを検索してコメントくれないかなあ。
それともうひとつ。
PSA の状態があまりよろしくないようで。
あまり細かく書くと｢風説の流布｣になってしまうかもしれないので控えておくが、この先安泰なのかと。
まあ、フランス政府も心配してくれているみたいだし、GM やクライスラーだって、なだかんだと存続できているので大丈夫だと思うけど．．．
シトロエンはこちらではよく見かける車です。
エンジンがそんなにいいのですね。
by めぎ (2013-02-24 17:09)
後ろのライト、カッコイイー！
でも、運転中は残念ながら自分では見られないですね。
by ＨＩＲＯＭＩ (2013-02-24 18:06)
やっぱシトロエン、カッコいいなぁと思います(*^_^*)
以前はユーノスロードスターに乗ってられたのですね？
お客さんの車撮影の仕事で載せていただいた時
とっても感動した事、覚えていますヽ(*´∀｀)ﾉ
by MILK (2013-02-24 22:58)
全体的に丸っこくて可愛らしいデザインですね。
さすがに300万クラスは私には遠い夢のような感じですが、
一度は乗ってみたいです。
MT車を用意してもらえるなんて、対応はとっても素晴らしいですね！
by koyuki (2013-02-25 00:33)
ディーラーの場所は気になりますよね。やはり何かと近い方が便利かなと思います。
で、徒歩圏内のディーラーで買って、よかったな～と思っていたら、
営業担当の人が転勤に。結局遠くなってしまいました(>_<)
by kuwachan (2013-02-25 00:42)
前回の赤いシートのインパクトが凄すぎて、
今回はおとなしめに感じてしまいました(笑)
by リュカ (2013-02-25 10:39)
旦那さまもシトロエンを要チェックしておりました。
専門家にはグっとくるのでしょうか！？
MT車を手配してくれるとは親切ですね。
by フェイリン (2013-02-25 19:45)
なかなか良く考えられている車ですねえ。
個人的には、明るいブルーがとても好みです。
シートのサポートもしっかりしていそうですね。
by ナツパパ (2013-02-25 21:28)
皆様、ただいま国内出張中につき、時間がなくアクセスが限られております。
なかなか皆様のところに訪問できないのですが、ご了承ください。
めぎさん、HIROMIさん、MILKさん、koyukiさん、kuwachanさん、リュカさん、フェイリンさん、ナツパパさん、コメント & nice! ありがとうございます。
めぎさん、
ドイツとフランスはお隣ですからね。
このエンジンは、ドイツ側だと BMW の 1シリーズと MINI に搭載されています。
いいです。久しぶりにしびれました。
辛口エンジン屋でも満足の名機だと思います。
HIROMIさん、
後姿に限らず、運転中は外観は見られないですね。
ということは、いまいち不満なこのデザインも気にすることはないのかな。
MILKさん、
ユーノスロードスターは名作でしたよ。
ネタに困ったときに、振り返って同じ物差しで採点してみようかなと思っています。
koyukiさん、
たしかにこの価格は私も躊躇いがあります。
前にも書きましたが、この先買えるクルマは2，3台だと思うので、それを考えると上限ぎりぎりというところです。
kuwachanさん、
やはり近くでサービス工場があると安心ですよね。
今住んでいるところは、幸いにも BMW のサービスが近いので、MINI のトラブル時も助かっています。
リュカさん、
写真のモデルはネイビーのシートをまとった限定モデルですが、スタンダードモデルも黒系なので、地味といえば地味です。
もう少し遊び心があってもいいですね。
フェイリンさん、
あえて言うならば、プジョーではない(そんなに多く売れてない)というところが、マニアックっぽい部分をくすぐられるのではないでしょうか。
ナツパパさん、
この色いいですよね。
実物は、写真よりも深みを感じ、なかなかかっこよかったです。
欧州車のシートはよくできていると思います。
長距離ドライブが当たり前の地域だからでしょうか。
ソニックマイヅルさん、knackeさん、kiyoさん、yamさん、Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2013-02-25 23:27)
車に詳しい人はこういう所をチェックするんだ、
と、とても参考になりました。
昔、港で輸入車の積み下ろしをしていたとき、シトロエンにも乗りましたが、
チョークがあって、『バイクみたい～』と思ったのを思い出しました。
by aloha (2013-02-26 01:04)
alohaさん、コメント & nice! ありがとうございます。
最近のクルマのエンジンは100%電子制御になっているので、チョークはもう見ないですね。
全く知らない世代の人も増えているのではないでしょうか。
あんぱんち～さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2013-02-27 07:10)
私もこの車は試乗しました。その後DS4も試乗しました。
AT車だったのでMTの方は分かりませんけど、
DS3の方がいいなぁと思い、だったらMINIがいいなぁと思いました（笑）
個人的には一代前のC4が大好きです。特にコロンとしたオシリ♪
友人がシトロエンに5年ほど前まで乗ってましたけど、
それほど故障や不具合はなかったように思います。
私の今のプジョーもまぁそれなりにというところですねぇ。
by luckystream (2013-02-27 10:37)
luckystreamさん、コメント & nice! ありがとうございます。
最近のは意外と大丈夫そうですね。
実際に乗られている方のコメントということで貴重です。
クルマは当たりハズレが多い商品でもありますので、そっちのほうが影響は大きいのかもしれないですね。
by YAP (2013-02-28 07:52)
ちんくろ2級さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2013-03-01 08:05)
メカはわかりませんが、その荷台は魅力的！
ここ数年で何度もレンタカーに乗っていますが、自分が買うならばやはり青色がいいです。
by あおい (2013-03-01 17:25)
あおいさん、コメントありがとうございます。
荷台に注目されましたか。
このコンパクトサイズながら、なかなかの広さで驚きました。
by YAP (2013-03-02 06:30)
乗りはじめて3か月ほどですが、さほどのクルマ好きでもない自分が不思議に思うほどなんとも言えない魅力を感じさせるクルマです。内外装のデザインと質感のせいでしょうか、VOLVOからの乗り換えですが、格落ち感のようなものがありませんし、しいて言えばペットのような愛着を感じます。メカの信頼性についてはある程度の覚悟はしていないといけないのでしょうね。ディーラーも「おおらかな気持ちで乗ってやって下さい」と言っておりましたが（笑）、「その時」が来ないことを祈りつつ、今のところはまぁしょうがないな、と思っています。
by masa (2013-05-07 21:46)
masaさん、コメントありがとうございます。
実際のユーザーさんのコメントは非常に参考になります。
これ以降も何台か乗りましたが、今のところ一番しっくりきました。
by YAP (2013-05-12 14:55)
5月後半から3週間、オーストリアでレンタカーを借りたらあてがわれたのがC4でした。6MTクリーンディーゼルはDSとは正反対のコンセプトかもしれませんが大変楽しめる車でした。
驚かされたのが一回の給油で1000キロ以上走ること。燃料が軽油ということもありとても懐にやさしいのがうれしいですね。
シフトをニュートラルにすればエンジンが止まります。クラッチを切ってギアを入れると始動します。回転が上がればシフトアップを促すインジケーターが現れます。ただし、坂などでトルクがかかれば表示しません。燃費は非常に優秀です。
シートとサスペンションはとても心地よく、高速の走行性能や安定性も申し分ありません。
向こうではいつもディーゼルに乗りますが、加速も騒音も排気ガスもまったくガソリン車と遜色がないように思えます。冗談でなく、同じ車が手に入るなら買おうかと思っています。
by こって牛 (2013-09-06 22:26)
こって牛さん、コメントありがとうございます。
こちらのブログは放置状態でしたので、コメントへの返信が遅くなり申し訳ありません。
現地仕向けのC4には、アイドルストップがついているのですね。
今の時代、正直なところ、日本仕向けにも採用してほしいものです。
toritonさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2013-09-28 07:12)